「湯狐」   作:匿名希望





「は? 風呂……ですか?」
きょとんとした表情を浮かべ彼女は言った。
「はい、お風呂です」
それに僕――桐島東人はしっかりと頷いた。
蒼い袴と白衣に身を包み、漆のような深みのある髪、その容貌は恐ろしいほど整うが、頭から生える獣の耳、腰から伸びる四本の尾が、彼女が人間でないことを表す。
見える者が見れば恐ろしかろう、神々しかろう。
だが――
腰ほどしかない背丈、その容姿は少女というより幼女に近く、整った顔をキリリと引き締め古風かつ鷹揚な言葉使いをする様は背伸びをしている子供にしか見えない。
そうなると耳も尻尾も愛くるしい範疇に収まってしまう。
「東人……なにか良からぬことを考えてはいませんか」
「いえ待宵様。余計なことは一切」
じろりと今一迫力に欠ける眼力を注ぎながら、まあいいでしょうと呟く。
「それでなぜ風呂なのです?」
「以前(月見食堂記壱〜白竜温泉録〜で)温泉に入りたいと言っていたので」
「そんなイベント本の、しかも寄稿四コマのネタをなぜここで!? というか話が異次元過ぎます!!」
なにやら世界の壁を突破しているような趣になってるが、どうどうと彼女をなだめる。
「そこはまあ置いておいて。現実的に温泉は不可能です」
それに彼女は息を整え応えた。
「確かにここ一帯は水源こそあれど温泉など湧きませんし、湯殿を作ろうにも相当手間と時間がかかるでしょう」
さすが種正一帯の土地神だけあり地理には聡い。
「ええですから、せめて手軽なもので気分だけでも味わってもらおうかと」
「はい?」
そう言って笑いかけると、彼女は首を傾げた。


「なるほど、こういうことですか」
そう納得する彼女を見ながら僕は新たな薪をくべる。
目の前にはドラム缶があり、その下の焚火を団扇で仰ぎ煽る。
中には程よい温度となったお湯があり。
「即席五右衛門風呂です」
そう言うと、彼女が感心したように頷く。
すでに湯には温泉の素を入れており、温泉特有の匂いが漂っている。
「待宵様、もうそろそろ良いですよ」
「そうですか」
その言葉に彼女は服に手をかけ――
「東人」
「はい」
彼女は目を細めるとこちらをにらみ。
「あちらを向きなさい」
「これは失敬」
くるりと背を向けると、背後で衣擦れの音がした。
いいですよ、と聞いて向き直るとどこから持ってきたのかタオルを巻きつけた彼女の姿ある。
「準備はいいですね」
確認を取ると彼女が頷いたのを見て、脇に手を差し込むとそのまま持ち上げた。
軽い。
「っと」
ドラム缶は優に彼女の背丈を越しているのだから自然とそうするしかなく、都合よく台座となるものもないからしょうがない。
お湯が足先に触れて、彼女の耳がピクリと動く。
「それでは降ろしますよ」
「気をつけなさいよ」
ドラム缶の中には熱い底に触れないようにお湯に浮かぶ木の板があり、その上に乗せて手を離すとするりと彼女はお湯へと使っていき――
なにやら忘れているような気がした。
「がぼっ! がぶぶっ!!」
するりと――待宵はそのままお湯の中へと沈んだ。
ドラム缶の全長>待宵の身長
「ま、待宵様!?」
ばしゃばしゃと荒れる水面に僕は慌てて手を突っ込んだ。


「危うく煮狐にされるところでした」
腕の中で彼女が何度とない非難を口にする。
「はい、それはもう申し開き様も無い事実でございます」
「これぐらいのことは想定しえることでしょう!」
「はい」
あれからなんとか彼女を助け出し事なきを得た。
ずぶ濡れのままの彼女を前にして猛省する僕に、一つの命が下された。
『東人、貴方も一緒に入りなさい』
彼女の弁では、確かに溺れかけたがせっかく用意された湯床を無下にするには忍びない。
かといって湯の中で台座となるものない。
となると、誰かに支えてもらうのが一番いいと言うことであった。
「聞いていますか東人」
「はい待宵様」
彼女の体はすっぽりと腕の中に収まり、心地いい湯の温度と合わさり安心する。
「これも最近どうも貴方は私に対する行動と発言にどこか」
普段からどこか不満があったのだろうか、くどくどと説教をし始める彼女の声を聞きながらゆっくりと体を傾ける。
湯は心地よく、景色は青々した自然、腕の中には愛しき君。
そして触れ合う肌は柔らかく、張りがあり……悪戯心が湧き上がってきた。
「大体がですね――ひゃっ!? 東人」
そっと彼女を抱きしめる。
「いきなりなにをっ!」
戸惑う彼女に構わず抱きしめたまま、腕をその体に這わせる。
慎ましい乳房をすり進む手に彼女は身を捩る。
「んっ! 東人、怒ります、よっ!」
まあこうなればすでに怒られることは確定しているので無視する。
脂肪の薄い胸をまさぐる手はすぐに目的の物を見つけ、その小さな蕾を抓んだ。
「あ、んくっ!」
ビクリと彼女の体が跳ねる。
蕾は指の間でいじられて、徐々に硬く張りつめていく。
「ひ、ぅっ! やめ、なさいっ!」
まだ抵抗はあるが弱々しい。
その間にもう片方の手は下腹部に滑り込み。
「きゃうっ!!」
つるりとした丘に指がたどり着くと、そこにはお湯とは違うぬめりがあり。
「あ、東人ぉっ!!」
上がる声にも艶が入り始めていた。
丘の割れ目に指をあてると軽く指でかき混ぜる。
すると割れ目が柔らかく歪み、お湯とぬめりを混ぜていく。
「んっ、ひぅ……あ、あぅっ」
腕の中で悶える彼女を押さえつけつつ、同時にグミのように硬くなった乳首をこりこりと刺激する。
「あ、くぅっ、ひっ、んぁっ! んんっ」
乳首を押しつぶせば背を反らし、秘裂をかき回せば下腹部に力を入れる。
翻弄されるその姿を見るだけで、自身が驚くほど高まっているのがわかる。
「待宵様」
「ふぁっ」
耳元で囁きかけると彼女はぞくぞくと背を反らせる。
「っぁ……東人っ、今すぐ、これをっ……やめな……ひゃぅ」
息も絶え絶えな彼女の耳を淡く食みながら僕は、”それ”を押し付けた。
当てられた感触に、一瞬わけがわからぬと彼女はキョトンとして。
「ちょ、ちょっとまち――」
慌てるがもう遅い。
――ちゃ、ぷ……ぬぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ……
「あっ……ぁ、ああ、あ、あ、あっ!」
狭い肉を押し開いた。
お湯でふやけた入り口はたやすく陰茎を受け入れ未熟な果肉を貫いていく。
体格差からか、竿を半分残したところで終わりは見え。
――ぷ、ぷ……こちゅ
「ひ……っぁ……っっ!!」
奥を小突いた時、彼女の体が大きく跳ねた。
「っぁ……ぅぁっ、ひ、くぅ……っ」
きゅうきゅうと幾度も締め付ける膣壁の刺激に彼女が達したのを知り。
――ぢゅ、ぐ……ぢゅ、ぐ……
「……っはぁ……ひぃっ! やめっ……きふぅっ」
ゆるりと腰を回し始める。
「ひぐっ! ……ひろがっ! ひっ膣内、ひろがっ……ふひぃっ!?」
貫くでもなくあくまで腰を回し、狭い膣内を押し広げる。
敏感な膣壁をカリ首で抉りながら擦っていく。
「だめっ! そご、だめぇ……あ゙ぅぅっ」
お腹の側を強く擦ると膣壁がうねる様に痙攣する。
何度も狭まる膣穴を力強く押し広げる。
「はくぅっ……ひ、きぃぃっ!」
また一つ彼女が達する。
すでに口から意味のある言葉は無く。
膣内を陰茎が一周するだけで何度も達し体を痙攣させる。
「はっひ……はっひ……ひぃぃんっ!」
いつまでも、いつまでもそれを堪能したいが、そろそろ僕にも限界が近い。
彼女の腰をしっかりと掴む。
「……ふぁ?」
蕩けた頭のまま反応する彼女を尻目に、ゆっくりと”穴”へと力を込めていく。
――め、ぢゅ
「ひ――きひぃっ!」
膣穴の奥。
固く閉ざされたその場所。
子宮口を押し上げるようにするだけ唸る様に体を震わせる。
「ぉ、ぉぉぉおおっ!!」
――めきゅ……めきゅっ
徐々に亀頭がめり込んでいく。
「ひっきぃっ……ひっきぃっ……ひぃぃぃいいっっ」
彼女は浅い息を何度も繰り返し、悲鳴じみた声をあげ。
――め、き……ず、ずぼぢゅっ!
「か――ひ」
陰茎が全て彼女へと収まった。
「――っ――ぁ――……」
彼女はパクパクと虚ろな目をしたまま口を開閉するのみ。
ゴム毬のような感触を堪能しながら、僕は溜めに溜めた物を――解放した。
――ぼぶぶっ!! びゅぶるるっっ! どっぼッ! ボビュッ!
「ひ――ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙」
――ビュブリュ! びゅぶぶッ! トプププッ!!
「ぁ゙ーっ! ――っ……ッッ」
声にならない声が響く。
固い子宮口はカリ首をしっかりと銜え込み、その密閉した空間をぐつぐつと煮えたぎった精液が蹂躙し溜まっていく。
――ビュルルっ! びゅるッ! ゴボッ!
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙――」
そこには湯の中で交じり合う雄と雌しかいなかった。


いつまで浸かっていただろう。
いつの間にか湯はぬるくなっていた。
腕の中の彼女はぐったりとしたまま動かず、さすがに心配になってくる。
そろそろ彼女を連れて湯を出た方が良いのではないかと思い始めた頃。
「――ぃ――ぅ」
ぴくりと彼女の体が震えた。
「待宵様?」
声を掛けるが反応は無い。
だがボソボソとなにやら喋っているようで。
「ぁ――ぃ……」
「待宵様」
声を掛けながら耳を澄ませると。
「あぁきぃとぉぉぉおおお」
怨嗟の籠った声を上げながらゆっくりとこちらに振り返り。
「あ、あの先ほどはやりすぎま――もがっ!?」
先行して謝ろうとした口がふさがれた。
見るとお湯から出てきた尻尾が顔に巻きついており。
「――どうやら私は甘すぎたようですね」
口元だけは優しく彼女が声をかけてくる。
それだけならば非常に魅力的なのだが――瘴気さえ纏っていそうな憎悪に歪んだ眼力が全てを恐怖へと陥れていた。
「少々お灸をすえましょうか」
何を、と聞こうにも口は塞がれていて。
しゅるりと尻尾が手足を拘束し、口を覆う尻尾が顔全体を覆い――
「むがっ! もががっ!?」
「大丈夫――ちゃんと加減はしますから」

教訓:水に濡れた毛皮で顔を覆われると呼吸ができない。



目次へ戻る