「ふて蛇」   作:匿名希望





「雪紐さん……あの、これはなにを?」
ヒーターがガンガンにかけられた室内うだるような暑さの中、俺は問いかけた。
赤くなった頬、しっとりと濡れた瞳、熱い吐息。
……そして近くに放置されている一升瓶数本。
畳の上に横たわる俺にのしかかる酔っ払い(雪紐)は不機嫌そうに返す。
「あーもう黙ってなさい!」
部屋に入るといきなり足を掴まれ引きずり倒されて、はいそうですか、と納得するにもできない。
というかズボンに手をかけて。
「ストップっ! 雪紐さんストップっ!! なにしてるの!?」
慌てて奇行を止めようとするが、目の前の酒臭い存在はお構いなしに叫び散らす。
「人がさっ! せっかく寒い中さっ! わざわざさっ! 頑張って(ちろる)チョコにさっ! 協力したのにさっ! 一番余るとかどういうことさっ!! ひっく」
「あなた人じゃなくて神でしょう! しかも協力と言いながらめちゃくちゃおざなりだったし! というか発言がメタ過ぎるし気にしてたんですか!」
「ああ気にもするさ! 神様なんて売出し中のアイドルと似たようなもんさ! 人気なきゃ縮んで消える運命なのさ! うぃ〜……」
「あーもうこの酔っ払い! って、下着に手をかけないでください!!」
どたばたごろごろびたんびたんはぁはぁ……
だが神には勝てるわけもなくて。
「けっきょくこうなるんですね」
ズボンも下着も剥ぎ取られ、改めて雪紐が下半身にのしかかっている。
「もー観念なさい! ひっく…」
そう彼女は言うと上着をたくし上げ、ふるりと白い双丘が飛び出した。
そして何か四角いものを数個とりだすと、胸に挟んだ。軽く動かすとそれはたやすく溶けて擦れた部分へと広がり。
なんだと見ると甘い匂いが広がって……チョコ?
「今日はバレンタインでしょ? だからサ〜ビスサ〜ビス♪」
室内の高温で柔らかくなっていたチョコは体温でたやすく溶け、柔らかそうな胸で捏ねられ、白い肌の上に広がる様子は非常に官能的で。
「ん? ……ふふ、まだ触ってもいないのに乗る気じゃない」
反応した股間を見て彼女は笑う。
そして挟んだチョコが全て溶け、擦り合わせる胸の間からネチョネチョと音が響く。
「それじゃあ、いくわよ」
抱えるように持ち上げると、くぢょりと音を立てて陰茎が胸の谷間へと沈んでいく。
「く……う……っ!」
予想以上にねっとりと絡みつく感覚が陰茎を包み上り詰めそうになり、呻きが漏れ。
その様子に雪紐は口元を歪める。
「そんなに我慢しなくてもいいのに」
メンタル的な問題で却下です。
そして胸の谷間から亀頭が覗き、雪紐は一度動きを止める。
「そうかい。それじゃあ動かすよ」
両手で挟むようにして、ゆっくりと乳房が上下する。
「ふ……くっ……すごっ」
感触はマショマロみたいにやわらかいのに、粘度の高いチョコが引きずるように表面を滑る。
「これは、すごい粘りね」
チョコの抵抗で陰茎を擦る乳房が巻き込まれるように形を変えてる。
小さな池と化している谷間をずぶずぶと貫く陰茎はチョコに塗れ、さらに擦り込まれていく。
ニュグ……ニュル……
「っはぁ……っはぁ……」
あくまでもゆっくりとした往復。
だがそれが余計にじんわりとした快楽を与え、腰の奥へと注がれていく。
「いつもながら……大きい…ん」
ヂュク……ズルル……
甘い香りが漂い、降り積もる快楽に思考が鈍ってくる。
気が付けば乳房と陰茎はすっかりチョコでまみれ、その根元は軽く泡立ってさえいた。
…クプ……ニュグ……
何度とない刺激に腰が震える中。
「それじゃあ、そろそろいただきましょうか」
雪紐はそう言うと唇を舐め。
「はっぴーばれんたいんー……ちゅっぴちゃ…はぁむ」
谷間から突き出す亀頭についたチョコを舐め、銜え込んだ。
「ちゅ、ちゃぷ…は、ん……あむ……甘い……くちゅ」
嬉しそうな声が漏れ、陰茎が熱い口内で擦りなぶられていく。
徐々にチョコが舐め取られ、綺麗になっていくが。
「ふ、ぅん……ちゅぷ…ぢゅるる…もっと……はむ…んん」
雪紐はねちっこく鈴口をほじりながら、ゆっくりと乳房を動かし始める。
チュブ……ズブブ……
「ぺろ…ぺろ……れる…ん、美味しい……ん、じゅるっ」
谷間に溜まっているチョコを肉棒へと塗り付け、それを口で舐め取っていく。
「っ……!?」
急に快感の上限が跳ね上がり、腰が浮きかける。
突き上げるように胸から竿が覗くと、その分だけ口へと収められていく。
「あむ……もぐもぐ……ぢゅっ、ちゅぱ……れぇろ……あん、ここも……ん〜ぢゅるる」
竿を擦る柔らかくだが纏わりつく乳房の鈍い快楽と、亀頭を覆う溶かしつくす情熱的な舌づかいの鋭い快楽が同時に襲い、限界は近かった。
「…ちゅぐ…れる…はぷっ、んっんっんっ!」
やがてチョコもなくなるが雪紐は口を離さず、唾液で滑りが良くなった胸が、じゅぶじゅぶと音を立てて上下する。
ニュクッ! ジュップッ! ニュグッ!
「はぷっはぷっ…ぢゅるるっ、ぢゅっ!」
激しくなる動きに腰の奥が煮えたぎるもの込み上げてきて。
「んんっ! いいよっぢゅちゅっ! らして! んん、ぢゅぅぅうううっ!!」
突如と強烈な吸い上げに。
「くぅ……あっ!!」
――ビュブブッ! ドブッ! ブビュルルッ!!
「んんんっ! おぷ……ン…ぢゅる…ちゅぅぅ……こくこく」
吸引されながら射精する。
――ビュル…! コプ、コプッ!
「んく…ん〜〜っちゅるる……ちゅぅちゅぅちゅぅっ」
胸が肉棒を射精を促すように優しく上下に擦り、啜り続ける口が睾丸から精液をいつまでも吸い上げるような快楽。
――…トプ……トプ……
腰の心が抜けそうな痺れに声さえも出なかった。
「ちゅず…ん、ぺろ……んん」
――ピュ…ップ……
長い射精が終わり、完全に腰が抜けていた。
雪紐は痙攣する陰茎を一舐めすると。
「最後の一滴まで……ちゅぅぅずずっ」
「くあっ!?」
尿道に残った分まで吸い出した嚥下した。
「ん…く……ふぅ……こんなに白いの射精して、ホワイトデーの先払いのつもり?」
ようやく口を離した雪紐は意地の悪い笑みを浮かべる。
親父臭いギャグだな……
そう思うが声に出す余裕がない。
「何か失礼なことを考えてないかい?」
「っあ!!」
女の勘かなにかか、青筋を立てた雪紐が手で乳房を捻るように寄せ上げ、射精後の敏感になった陰茎が刺激され辛いほど気持ちがいい。
腰を動かそうにも、腰が抜けていて情けない声だけが上がる。
「まあ、ホワイトデーにしろなんにしろ」
雪紐は時間をかけて乳房を持ち上げ、ずぶずぶと陰茎が擦られて柔らかい刺激にこっちは悶えるしかなく。
「次は、こっちにもらおうかな」
完全に乳房から陰茎を抜き取り、雪紐は腰を浮かせると手早くスカートが落ち、中腰になりながらショーツを片足から抜き取った。
先ほどからの刺激で萎えることなく勃つ陰茎の上、雪紐は跨ぐように体を持っていく。
そこはすでに前戯もいらないぐらい蜜が滴っていて。
「3倍返しと言うしね……頑張れ、男の子」
ゆっくりと腰が降りてくる。
チュプ……チャグ……ズグ、ズズズ…
はじめ触れ合う場所は熱く、腰が落ちるごとに触れる面積がどんどん広がっていき、ゆるりと静かに呑みこまれる。
「ん、んぁ……挿入ってくる……っ」
内ひだが絞るように締め付けながら、奥へと送り込もうとうごめいていく。
絞り送っていく膣内の動きに、蛇に呑まれる錯覚を起こす。
ズブブ……ズヂュッ……ズグググ……
「…あ、は……あうん……ほら、もうすこ…し…」
もどかしいぐらい時間をかけ腰が遅々として落ちていき。
「……うぅんっ……奥……とど、いたっ」
こつん、と硬いものへとたどり着いた。
ぶるりと雪紐の体が震える。
「んんっ……すごく硬いのが……子宮、押しあげてる……んっ!」
雪紐が大きく息を吐くと、押し当てるように腰をゆったりと動かし、ごりごりと陰茎で子宮口を擦る。
「はぁ……はぁ……はぁ……んっはぁ…硬い…」
ヂュグ…ジャグ、プッ……
肉付きのいい臀部が楕円を描き、蠢く肉壁がぬるりとあらゆる角度から竿に纏わりつき、亀頭は子宮で削られる。
射精して間もないというのに、睾丸が絞られる感覚に陥り。
「…はぁ……んっ! んん〜〜っ!!」
キュゥゥゥウウウッ!!
「かっ…くぅぁっ!?」
子宮口が吸い付くように動いた。
――ピュヂュブッ!! ダプダプダプッ!!
叩きつけるように射精する。
「あ、ああんっ! んぁぁあ…っ……しきゅう……たたいて…っ」
射精するたびに膣が震え、ぐねぐねと肉ひだが陰茎を絞り射精を促す。奥から奥からと、排泄するように子宮へと精液を放つ。
――コポ…トプププ……ッ!
「んっはぁあ……っ! は、あぁ…溜まっていくのが、わかる…」
雪紐の手が子宮辺りをさする。
――…ピュプッ! ピュププ!
「ふ、くぅ…っ」
それに合わせて膣が蠢き、また少し射精した。
小出しに何度も襲う射精感の中、雪紐の膣内がまたきつく締まり始め。
射精中の陰茎を握られるような圧力が襲い、びくっと腰が痙攣した。
「ほらっ! ……へばるな男の子っ」
そう言うと胸板に手を当て体を支え、ゆっくりと腰を動かし始める。
ジュップ…ジュップッ……チャプッチャプッ!
「ふぅんっ! あっく…ひゃんっ! あっ! びくびくっ! 痙攣してっ!」
縦横無尽に白い体が跳ねる。
ぎゅうぎゅうと窮屈な膣内は温かく、柔らかい肉壁の凹凸が滑るたびにカリ首をこそげ、射精を誘う。
「ひぁっ! おなかの…うらっ! ごりって! きゅっあっ!」
ギュッブ! ブッヂュ! パヂュッ!
容赦ない動きがぐいぐいと三度の射精へと押し上げていき、抜けた腰に未だ力が入らないが。
そんなことは関係ない。
ズッチュ!!
「くひぃっ!」
力を振り絞り腰を突き上げる。
跳ねた体を、落ちてくる瞬間に腰を押し出した。
ズチュッ! ズチュッ! ズチュッ!
「あひっ! あ、んっ! や、しきゅうっ! 小突いてっ! ひくぅんっ!」
急なことに雪紐の声が急激に高まり、それに合わせて膣内がどんどん絞られていく。ぐつぐつと脳髄が煮えたぎる感覚を振りほどき、膣内を強引に貫く。
ブッチュ! ブビッ! カプッ!
垂れてきた精液と愛液が接合部で空気を含み泡立ち、音を立て。
「っひ、っひ、っひ! くひぁっ! はげ、しっ!  んんっ!!」
ゴッゴッゴッゴッ!
噴き出た汗が弾む胸を滑り、先端から滴り、落ちる。
射精を歯を食いしばり我慢し、跳ねあげた体と、より深く、深く繋がろうと杭を打ち続けた。
「ひっく! あぐっ! だめっ! く、くる……きちゃ…う…っ!」
雪紐の声がより切羽詰ったものとなり、体が強張ってくる。
それに向けてこちらもスパートをかける。
ヂュップ! ヂュップ! ヂュップ! ヂュップ!
「ぃあっ! あ、あ、あ、あ……っ! イ、く……イク…イっちゃ、んんっ!!」
爪先がピンと伸び、耐えるように雪紐が目を瞑るのに合わせ、雪紐の体を大きく跳ねあげると。
――ズンッ!!
腰を抑え込み、渾身の力で子宮を突き上げた。
「っ! ぁ、ぁあ、ぁああああっ!! ひぅぅううんんんっっ!!」
――ブヂュルルッ!! ビブッ! ブビヂュルルッ!!
壊れたように射精をした。
睾丸が鈍痛を持ち、背筋が引きつるほどの精液が尿道を流れ、カクカク腰が勝手に震える。
――ビュブブッ! ビュルッ! ドビッドビッ!
「ひぃぃんっ! あっくっ! ぉぉおくっ! あぁぁああっ!!」
雪紐の体が恐ろしいぐらいガクガクと痙攣するが、その腰をがっしりと固定し決して離さず、一滴も残らず子宮へと精液を注ぎ込んでいく。
――ドップ! トップ! ビュルルッ!
「ひぁぁ……あひっ……おなか……いっぱいで…」
注ぎ続けられる精液に、お腹の子宮辺りが薄らと盛り上がり。雪紐は身をよじるが、腰を掴む手がそれを離さず、その動きが余計に射精を促す。
――ビュルッ! トプッ…トプッ!
「い、いっぱい……もう…いっぱいなの……ひくぅっ!」
雪紐がビクビクと痙攣するたびに膣も同時に締まり射精を続けた。
――コッポ…
「あ、く……ひんっ」

ゆらゆらと雪紐の体が動き。
そして急にまた膣が断続的に締まり始めた。
「ま、またですかっ!」
どこかおかしいではないかと疑いそうなぐらい萎えない陰茎は、その刺激に固くなっていく。
さすがに死ぬかもしれない。
腹上死がリアルに脳裏に浮き彫りになる中。
雪紐がゆっくり上半身をこちらに垂らしてきて。
「は……そ………」
「え?」
ぼそぼそと呟かれる言葉。
「……き……う……」
耳を凝らそうと顔を近づけようとすると、よく見れば雪紐の色白の顔は青く……先ほどから膣を締める痙攣はどうやら胃のあたりからくるようで……。
「吐…き……そう……うぷっ」
押えた口の隙間からそんな言葉が聞こえ。
「ちょっ! ちょっとまぁぁあああっ!?」
一気に萎えた。
「待って雪紐さん! さっきまで平気だったでしょ!?」
「暑くてふらふらして……チョコと精液いっしょに、飲んで…けぷっ……ぐらぐら揺れて……うぷ……内臓押しあげ、うぐっ……られ、て……」
何もかも自業自得だが、その理論はこの状態には聞くわけもなく。
「待って…雪紐さん……お、お願いだから……やめっ?!」
「も……だめ……」
その青い顔色がさぁっと白くなっていき。
「えろろろろろろろろ――」
「この酔っ払いがぁぁあああっ!! ぎゃぁぁあああああっっ!?」

2月14日。この日、日本では愛を伝えるバレンタインデー。
数多の恋と喜びが飛び交う中、哀れな二人がいたという。


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