「孤狐」 作:匿名希望 その日は寒かった。 分厚いコート越しと袋を持つ手に染み込む冷気に 地面を覆う霜を踏み砕き鳥居を潜り、僕は社殿へと進んでいく。 昼前とはいえ、幾つかある足跡がこの神社がまだ忘れられていないことを示している。 社殿を覗きそこに誰もいないと見ると更に奥、鬱蒼とした森へと足を踏み入れた。 薄暗い雲と相成り木々は不気味な影を落とす。 その木々の間を進んでいくと、やがて開けた場所へ出る。 まるで木々が恐れ多く避けている様な不自然な場所。中心には古びた縄がかけられた一本の老木。 それは表にある神木とは違い、いつからあるのか注連縄は朽ち、所々が枯れ、腐り、苔に覆われながらも未だ威風堂々と立ち続ける。 「……」 年月と言う神性に気圧される中、その大樹の根元で寄りかかる少女を見つけた。 少女はただ安らかに目を閉じ、根に腰かけながら大樹へ体を傾ける。 その姿は日に照らされれば消える雪のようで、ひどく儚く映った。 「待宵様……」 躊躇いながら発した声に、少女の――待宵の目がうっすらと開かれる。 「……東人ですか。どう、しました?」 「僕はいつものを」 桐島東人――僕は手に持った袋を掲げ、聞き返した。 「そういう待宵様は何をしているので?」 「力を分けて貰っていました」 「力を?」 待宵は大樹の苔むした表面を撫でる。 「これはかつて神木として信仰され、崇拝された大樹。長い年月を経た物にはそれ相応の『力』が宿りますが。これも元は神と崇められ信仰を受け、やがて神気を纏いしものの一つです」 だが、そっと見上げた大樹にほとんど葉はなく苔に覆われた姿は、消える灯火を思わせた。 「ですが、もう信仰は絶え崇拝どころか憶えている者さえおらず、かつての神力は衰えました。ですが確かにその身を神力が満たしていたのです」 その顔は諦観や自嘲といったものを静かに受け入れる。 「その形骸となったこの老木から、神力の残り香を分けてもらって――」 朽ちかけた神木と、希薄な彼女(待宵)の存在が重なって見え。 「――東人……少し苦しいです」 気がつけば目の前の人を抱きしめていた。 腕の中の身体は小さくて、細くて、とても頼りなくて。 「不安にさせてしまいましたか」 背中へ両手が回され、優しく撫でられる。 「そうでしたね。あなたは出会った頃から何かと怖がりでしたね」 その手は頬へと伸び。 「寒い中こんな場所までに来て……こんなに冷たくなって」 触れた手は小さく温かく……頬へと染み込んでいく。 手は頬を包んだまま引き寄せられ。 「ん……ちゅ…ちゅぴ…」 繋がった唇は深く交わり、その合間から舌が覗く。 「…んん……ふぁ…ちゅぴ」 絡み合う舌は互いを貪り、啜った唾はどこか甘く感じた。 そしてこちらが溜めた唾を流し込むと、彼女はゆっくりと飲み干していく。 「……ぢゅる……ん…こく……」 縋るように必死に唾を飲む姿に背徳と興奮を覚える。 いつまでそうしていただろう。 名残惜しげに唇が離れると、その間を銀の糸が繋ぎ、切れた。 「ぷぁ……ん……甘い…ですね」 彼女が舐め取る舌の赤にぞわりと胸が騒いだ。 するりと彼女は腕から抜け出すと、身を屈ませる。 「動かないように」 そう言い彼女は僕のコートへと潜ると、ズボン越しに撫で上げた。 ――ジ、ジジジ…… ジッパーが下ろされ、半勃ちのものが取り出される。 「……ぴちゃ…ん……すぐに…大きく、しましょうか……ちゃく」 コートの下、視界に入らぬ中。判るのは舐める音と腰へと広がる甘い快楽。 見えないことが逆に想像を膨らませ、興奮を煽った。 「ちゅる……ん、はぁむ……ぢゅっぢゅ…」 亀頭が温かいものに吸われ、竿まで包まれていく。 そこは熱く、ぬるぬるとして少し狭い。 「ん、ふぅ……ちゅっ……んむ…ぢゅるる…ん、ん、ん、」 軽く吸われたまま前後に動き、全体を心地よく刺激される。 「…ぢゅ……あむ…おおひく……ちゅるるる…」 口内で舌が別個の生き物のように動き、裏筋やカリの付け根を穿り、削るようにぬったりと竿を這う。 「はむ…あむ……んん…ちゅ、んく……ぢゅりゅ…」 呻きを抑えるのに必死になっていると。 「ん……はぁむ……ぢゅ…ぢゅぢゅぢゅ…んぐ」 ぬぐり、と更に奥へと呑み込まれ、声が洩れた。 「く…ぁっ!」 先端から狭い穴へと包まれていく。 「んぐ、んぐ……んん〜〜」 亀頭から竿にかけて、柔らかく搾られる。 奥の方にのっぺりとした壁を感じ、ぞわっと背筋が逆立った。 「ふぅーふぅー…んぐぐ……んぐ、んぐ、んぐっ!」 コートの盛りあがりが動きだす。 竿が喉を滑り、時折嚥下するような喉の動きで締め上げられる。 見えぬ盛り上がりの下、彼女が必死に陰茎を呑みこむ様子を想像して興奮が高まった。 「…おむ、んっんっんっん……」 甘い痺れが腰全体に広がってきて、それを歯を食いしばり我慢していると、彼女は奥まで呑みこみ一度止まり。 「むぐぅ……んん…ぢゅ…ぢゅぅぅううっ!!」 「あぐっ!?」 強烈な吸引。 真空になったかのような喉に僕は我慢ができなかった。 ――びゅぐ…びゅるるっ! 「んぶっ……んぐぐ……ごく…ごく…」 喉の奥への射精。 射精したものを嚥下し乳を搾るかのように陰茎を締め上げ、更に射精を促される。 「……んっく…んっく……んん…ぢゅる……ずずず…」 一滴まで飲み干すと、徐々に喉から陰茎が引き抜かれ。 「……ずず……ん、ちゅるるる…」 「ぅ……く…っ」 最後に尿道に残った精液まで吸い出され、思わず呻いた。 「ん、ふぅ」 コートの下から彼女が顔を出し、一度チロリと舌なめずりをする。 その容姿と相反する動作に引き込まれそうになった。 「まだ……できますね」 そして彼女は、荒い息、上気した頬のまま問う。 正直無理だった。こちらは腰が抜けかけ、なにより一度出している。 せめて時間を置きたい。そう思うが。 「一度だけ…なんて情けないことは言わないでしょう?」 彼女の手が僕へと伸びる。ぷちぷちとコートのボタンを外していく。 小さな手が、やわやわと萎えかけた竿を弄ぶ。 それは確かに刺激となるが、完全に勃起させるまでにはいたらない。 「しょうがありませんね」 そう言うと、彼女は一歩離れた。 老木を背に自らの帯に手をかけると、しゅるりと帯が抜かれ、すとんと袴が落ちる。 そして彼女は目を伏せながら残った裾を摘み上げた。 「もう……準備はできているのですよ」 目に入った場所は、触れていないのにトロトロと蜜を垂れ流している。 「――」 唾を飲み込んだ。目の前から目を離せない。 彼女は自らの幼い秘裂へと手を伸ばし、くちょり、と指でその場所を広げた。 「……ここに、その濃いものを……注いでほしいのです」 その言葉と姿に、ふつんと頭の中でなにか切れる音がして、陰茎が硬さを取り戻す。 彼女の伸ばした手が、勃ち上がったものへ添えられる。 「さあ、ここに……」 誘導されるがままに近づくと彼女を軽く抱き上げる。 そして線を引いたような割れ目へと亀頭をあてがい。 ――ず、ぐ…… 「んくっ」 彼女が声を漏らす。 その割れ目は本人の体と同じで未だ幼く、十分濡れているといってもそれ以上に狭い。 ――ずず、ず…… 「ぃ……ぃぁっ!」 亀頭が秘裂にめり込み、その端は広がり白くなっている。 いつ見てもそれは背徳を誘う光景で、彼女は強く僕の腕を握ると。 ――ずっぷ…ずぶずぶずぶっ!! 「はぅあ!ぁ、ぁぁああ……」 自ら腰を押し付け、強引に挿入した。 ――ずぶぶ…こつ そして半分ほど潜ったところで奥へとたどり着く。 大きく息を吐く。そこは熱くて、グネグネと蠢き、何より喉の比ではないほど狭い。 「ん、はぁ……はぁ…」 常に握り締められるような快感に果てそうになるのを我慢していると。苦しそうな息をしながら、彼女はしがみ付きながら僕を見上げ。 「……動いても、いいですよ」 「――」 ――ずっちゃ!! 「あひぃっ!?」 我慢ができない。 ――ずっちゅ!ずっちゃ!ずっちゃ! 「あぐっ!うぁっ!ひゃぅ!」 力強く腰を突き出す。 手加減や力加減や配慮など頭から消し飛んでいた。 「ひぁ!くひっ!あ、あ、あ、あっ!!」 幼い体が人形のように軽々と上下し、子宮を突き上げ。それを彼女は苦痛と快楽の両方が混ざった表情で受け止める。 振り落とされまいと必死にしがみ付く手を愛おしく感じ、より強く突き上げた。 ――どちゅっ!どちゅっ!どちゅっ! 「かひっ!ひぃっ!ひぁ、いひぃぁああっ!!」 ガクガクと彼女が痙攣し、ただでさえきつい膣内が締め上げる。 思わず射精をしそうになるが歯を食いしばり堪えた。 ――ずんっ!ずんっ!ずんっ!ずんっ! 「あ、あ、あ、あ、あひっ!ひっく!」 ぞりぞりと狭い膣が陰茎を削り、そのたびに背筋を快楽が流れ。 締め上げる力がカリを引っ掛け奥へと導こうとして、逆らい抜くのに腰が砕けそうになる。 まるでぐつぐつと煮立てるように欲望と快楽が溜まり濃縮されていくのを実感し。 ――ずっちゃ!ずっちゃ!ずっちゃ! 「ひぁ!あく!ひぅ!あっあっあっ……〜〜っ!!」 再び彼女の体が痙攣し始めた瞬間。 ――ずっぐ!!びゅ、びゅぐっ!びゅぶぶぶっ!! 「ぁ――ぁぁああああっっ!?」 串刺すように子宮を突き上げ射精した。 「……ぅあ…ふぁ、ぁあぅぅ〜……っ!!」 子宮へと精液を注ぎ、何度も射精する。 何度も撃ち込まれる精液に彼女は体を丸め身を震わせ、その度に膣内が蠢き精液を搾った。 ――ぴゅるる… 最後の一滴まで子宮へ射精すると大きく息を吐く。腕の中の体温が服越しに染み込む。 未だ腰をひくつかせる彼女は、荒い息のまま僕の頬へと手を伸ばし。 「……はぁ……はぁ……東人」 頬を挟まれ。 「ん…ちゅ」 静かに唇を繋げた。 老木の下。座る僕のコートの胸元から彼女は顔を出していた。 「……暖かいですね」 すっぽりと包んだ彼女の体は温かく、そしてとても幼い。 その姿にかつて自分の見た彼女の姿は薄れ。 頼りなさすら感じる彼女の体に、無力な己が身が呪わしくて、心が冷たくなる。 いつまで彼女は持つのだろう。いつまで彼女はここにいられるのだろう。 沈み込む思考は最悪の場面ばかりを想像し。 「東人」 その声に思考の海から掬い上げられる。 また彼女に救われた。その考えを出さないように、なるべく優しく問いかける。 「なんですか待宵様」 彼女はもぞもぞと動くと視線を先に向け。 「それで、あの袋には何が入っています?すけ屋の牛丼ですか?」 すんすんと鼻を鳴らす彼女に苦笑した。 「ちょっと違います」 あとどれぐらい彼女と共にいられるか。その望みは薄いものだとわかっている。 「むむ……この臭いっ…まさか……上カルビ丼!」 ならばこそ、精一杯彼女と共に僕はありたいと思う。 「正解です。少し冷めてしまいましたが断熱容器なので問題ないと思います。一緒に食べましょう」 「そうですねっ!……タマネギは私の分も食べてもいいですよ?」 とりあえず僕は、彼女を抱きしめたままタマネギを残さず食べるように見守ることにした。 「駄目です。タマネギも一緒に食べての牛丼ですから」 「むむむっ!!」 目次へ戻る |