「潜り蛇」   作:匿名希望





たまの休日。
その夜は寒波が来ており、かなり冷え込んでいた。
そうなると人と言うものはコタツから離れられないもので。
ダラダラとコタツでぬくもりながらテレビを見るのは必然であった。
そうしてだらけていると、スパンッ! と今の障子が開かれる。
「うー、寒い寒いっ! 湯冷めするっ!」
どたどたと風呂から帰還した雪紐が身と尻尾を縮めながらコタツへと滑り込んだ。
「ふぃー……コタツは偉大だ」
うつぶせに寝そべりながらそんなことを言う。
「ふむ陽司、先に入るかえ?」
「いや、実は一番風呂もらった」
「そうか、じゃあわしが最後じゃな」
入れ替わりに月見がコタツを抜ける。
「おう、ゆっくり温まれよ」
それを見送って、俺はテレビへと意識を向けた。
画面内では偉そうな評論家が地球温暖化を熱弁していて。
「少なくともこんなに寒いと温暖化どうこうなんか感じないけどなぁ」
画面はニュースへと変わり。
「おわっ!?」
ぐにっと股間に感じる違和感に思わず声を上げた。
コタツを上げるとそこには細い足があり。
「雪紐さん。足を伸ばさないでください」
その足をどけると、また元に戻った。
「嫌だ寒い」
「コタツを占領しないでください」
次はこちらの足で押しやる。
「私はここが好き。だから陽司は脇にどけて」
にべもなく、雪紐はこちらの足を押し返してきた。
「い や で す。神様なんでしょう? 人を邪険にしてはいけませんよ」
「神だが蛇でもある。そして蛇は総じて寒いのは嫌いなの」
「蛇なら冬眠しましょう!」
「い や だ!」
ガスガスと足と足がコタツの中で押し合い、場所を争い合う。
「……大人気、ない……ですよっ!」
「……少しは、神を……労われっ!」
「……っ!!」
「――っ!!」
やがてそれは無言での応酬を経て。
「ぬ、このっ! 人のっ分際でっ!」
「いい加減にっ! してっ! くだ、さいっ!!」
強引に突き出した足が空振り――伸びた足先がやたら柔らかい感触に包まれ。
「きゃぅっ!?」
びくっと雪紐が跳ねるように体を浮かせ、一瞬コタツが持ち上がる。
わき腹にでも当たったのか? それにしては柔らかいし場所も……
思わず足先を動かした時、なにかに足を挟まれ、それが太ももだと気がつき。
「ん、やっ! そこはっ! ひぅんっ!」
雪紐の反応と足先の柔らかを推測し――結論に至った。
「あっごめ――」
足を引こうとして――引き戻せない。
太ももがしっかりと足先を挟んで抜けないのだ。
「……あの、雪紐さん?」
「…………」
返事は無い。
だが、汗ばむ肌の感触が伝わり……
――ぐり…
「ん…」
柔らかい感覚が足先から伝わる。
肉付きの良い太ももの付け根に足先を潜り込ませ、薄い布越しに柔肉をかき混ぜた。
――ぐ、ぐい……ぐり…
「ん……はぁ…んっ!」
足先を動かすたびに雪紐が小さく息を吐く。
――もぞ…
気がつけば、また俺の股へ細い足が伸びてきていた。
その足はズボンの中で硬くなったものをこね始める。
「……ふ、ぅん……ん…」
――しゅっ…しゅっ…
それは布の上を滑るだけのもどかしい感覚。
「……ん……ん…」
だがコタツを挟み、相手の顔さえ見えぬことに大いに興奮した。
――くちゃ……
足先に染み出すような水の感触が広がり、雪紐の反応が変わる。
「ぁ……やんっ……」
ぐちゅぐちゅと足先の布は溢れる愛液で濡れていき、それに比例するように雪紐も高まっていく。
「…は……ん、ぃ……ぁ…やっ!」
そして雪紐の足が弛緩しはじめ、足先からひくひくと腰が痙攣するのが伝わる。
「ま、まってっ!!」
焦った声と強く太ももに挟まれ、動きを止められた。
どうしたのかと思っていると。
「ん……」
コタツの中で雪紐がもぞりと動き、その股をなにかが滑り抜け。
――ちゅくり……
「……ぁ」
太ももが弛み、再び触れた感覚はやけに生々しくて……
布越しではないぬかるんだ蜜が直接足先に纏わりつく。
「わ、私だけじゃ……不公平…だ…」
その言葉と共にズボンが擦られ、急かされる様に俺はチャックを下ろした。
ものはすでに先走りで濡れ勃ち上がり、そこを細い足が恐る恐る挟み込む。
――じゅぐ…じゅぐ……
「ふぁっ……はっ……ひ、ん……」
どちらとなく足を動かしあう。
――ぐぢゅ……ちゃく…
俺が足先で柔らかい割れ目をなぞり、中心を掻き混ぜれば。
――じゅっ…じゅっ……
雪紐は陰茎を土踏まずで挟み、先走りをまぶしゆっくりと擦りあげる。
「……ん……ぁ…ぃ……はっ…はっ……」
――ぢゅっく……ぴちゅ……
テレビの音が意識の外に出て、ただ擦れる水音と互いの吐息だけが響いた。
静かに高まっていく中。
「はっぁ……ぁっぁっぁっ……!」
雪紐の腰がびくびくと動き出し、亀頭が強く擦りあげられる。
――ぎゅぅぅう…
「っ!」
予想外の刺激に急劇に高まってきて、俺は歯を食いしばると。
――ぐぢゅっぐぢゅっ!
「――っ!!??」
思いっきり足先を突き出し掻きまわした。
「……ふ、ぅぅぅううんっ!!」
――ぷしっ!!
足先にかかる水の感触と共に雪紐は腰を突き出しきゅっと縮こまり、それに合わせて亀頭を強く挟まれ。
――びゅぶっ……びゅっぷびゅっぷっ!
俺は出口を挟み込み足へと射精していた。
やがて射精も終わると、目の前には精液で濡れた足がコタツ布団の隙間から覗き、足先からまるで擦りつける様に柔らかい感触が広がる。
「……はぁ…はぁ……」
「…ふぅ……ふぅ……」
そして今だ納まらぬ興奮と、こちらへ振り返る熱に浮かされた瞳が……

「ふー、いい湯じゃった」

がたどたばたざかざかっ!!??
カラリと障子を開けて月見が帰ってくる。
白襦袢を着た月見はぐるりと部屋を見渡し。
「二人ともなにをしておるんじゃ?」
ティッシュ箱を手にしている俺と、首下までコタツに潜ろうとしている雪紐へと言った。
俺も雪紐も両方息は荒い。
「い、いやちょっとお茶零しちゃってな!!」
「寝っ転がってたら服がずれちゃってね!!」
不自然なほどに大声での主張。
「そうかえ、雪紐殿は気をつけて。
陽司が襲うとも限りませんから」
コタツに入りつつ、ころころと冗談を言い月見に冷や汗。
いや、襲うではなく半場なりゆきで……
心の声はさておき。
「ふむ、明日は晴れるのかえ」
今更なし崩しに続きができるような雰囲気でもなく。
雪紐はもぞもぞと濡れた下着を身につけ。
月見に気づかれぬように自分と、雪紐の足についた精液をふき取りつつ。
「「……はぁ…」」
どちらともなく惨めな気分であった。


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