「卯年」 作:匿名希望 「むふふん……」 いる場所は自宅の一部屋。 置かれている物は少ないが、素人目に見ても年季を感じるような調度品がいくつか飾られ。その隅にひょっこりとJINTENDO DSがソフトの横で充電されている。 息も白くなるほど寒い中、部屋の中心には盛り上がった布団。 「……ほれ……まいった、か……むにゃ」 そして布団から覗く二本の黒く長い耳がひょこひょこと動き。 それを見ながら容赦なく布団へと手をかけると、思いっきり引っぺがした。 「さむぅぅうう!!」 敷布団の中心、突如温かい楽園から追放され肌着一枚で身を抱え寒さに堪える少女へと声をかけた。 「ほら、起きろ月見」 敷布団に大きく広がる黒髪は絡まることなくその艶を示し、身を抱く手は細く 白い。 そして本来は血色のいいのであろう肌を震えさせ、可愛らしい顔つきを強張らせながら少女――月見は言った。 「よ、陽司っ! いきなりなんじゃっ!!」 その声には非難の色が混じるが男――陽司は呆れた眼で見下ろしてきた。 「いつまで寝てるんだ。今日は元旦だろ?」 「お、おお! そうじゃった」 時計を見ると八時前。いつも起きる時間を考えても休日とはいえ少し寝すぎであった。 「なにやら茄子をいじっておったような……」 ぼんやりとする月見を見ると、陽司は手に持った掛け布団を畳むと背を向ける。 「準備してるから早く着替えて来いよ」 「あいわかった」 そのまま部屋を出て行く陽司を眺めながら、月見はぶるっと体を震わせ。 「うう……ささっと着替えるかのう」 もそもそと着替えだした。 先日溝まで掃除した襖はなめらかに開き。その部屋に入ると温かい空気がで迎えてくれる。 月見は手早くコタツへと潜りこむ。 「ふー……ぬっくぬくじゃ〜」 ほっこり顔をしている月見の前、コタツの上には黒塗りに金銀で細緻な模様が描かれた重箱が鎮座しており。中には色とりどりの料理が詰められている。 御節を眺めながら顎をコタツへと乗せる。 「さすがはじゃ。良い出来栄えじゃの」 頭が動くに合わせて長い耳が揺れた。 すると台所から陽司がお盆に漆器を載せて居間へ入ってくる。 「おいおい、毎年見てるだけでほとんど作ったのは俺じゃないか」 「年少は年配を労わるものじゃ。そして料理の師匠は儂、なら陽司の作ったこの御節は儂の功績ということになるのじゃ」 「有名レストランのコック長か。うちは大衆食堂だからその理論は通じません」 ふふんと胸を張る月見を横目に盃を置いていく。 「ふむ、そういえば雪紐殿は?」 月見がコタツのいつも厚顔無……いや大胆不敵な神様が居座る場所を見るがそこはもぬけの殻。 その言葉に陽司は一度手を止めると、ぽりぽりと頭を掻いた。 「起こしに行ったんだが。今日は特に寒くてな、冬眠しかけてた」 脳裏に浮かぶのは青白い頬でガタガタと震えながら縮こまる姿。 「一応ヒーターを起動しておいたから、そのうち起きだすだろ」 「そうじゃの」 あっさりと結論を出すと二人はいそいそと準備を始める。 月見が盃を手に取るとそれに陽司がお屠蘇を注ぎ、月見も陽司に返す。 それが終わると向かい合い陽司は月見を見る。 「ほれ、家長じゃろ。なにか言わんか」 意地悪く笑う月見に促され、陽司は咳を一つ。 「ん、ごほん。そうだな……こうして無事新年を迎えたことだし、今年も怪我事故などないように」 慣れないことを言っている自覚はあるのか、決まり悪そうな顔をしながらも言葉を一つ一つ選んでいく。 「この食堂も俺で五代目だ、これからもこれ以上の繁盛と発展……とは言いすぎだが、より良くすることを目指すつもりだ」 「家が絶えてしまうかもしれんがの」 「誰のせいだ。そこは黙っておけ」 口を挟む月見に苦笑しながら。 「そして……今まで、そしてこれからも白葉の家を……俺を見ていてくれ。今年もよろしくな月見」 静かに“家族”へと言った。 「…………」 月見は何も言わずに柔らかい視線を陽司へと送り。 陽司が盃を傾けた後に続いた。 「……ふぅ。いや、毎年のことながら慣れないな」 「ふふ、いつまでもそうではいかんぞ」 頭を掻く陽司を見ながら言う月見は、ふと思いついたように手を叩いた。 「さあ、雪紐さんはまだかかるだろうから先に食べ」 それに気がつかず陽司はお屠蘇を片付け初めようとして、奪われる。 「月見?」 お屠蘇を手に持った月見はコタツから出ると、陽司の傍へと寄る。 月見の行為に疑問を持つ陽司を前にして月見はにやりと笑い。 「よいっしょ」 着物の裾を大きく捲りあげた。 「なっ!?」 突如の行動に目を見張る陽司の前に、白く瑞々しい脚が飛び込んできた。 もちろん着物だけあって、脚の付け根を隠すものはない。 「つ、月見ぃ!?」 声を上ずらせる陽司を気にせず月見はそのまま正座すると膝をしっかりと合わせ。手にしたお屠蘇を傾けた。 「……ん」 とぽとぽと薄く色のついた液体が太ももと股間の窪みへと溜まっていく。 そして注ぎ終えると容器を脇に置き、笑いかけた。 「ほれ陽司。この酒を飲み干すがいい」 その言葉の意味がわからず、なぜと問い返す陽司に月見はすっと目を細めた。 「これぐらい……儂ぐらい飲み干す度量をみせてくれ」 その言葉で、空気が変わった。 先ほどまでの温かく和やかな空気が、蒸し暑く感じる。 月見は人差し指で股の酒を一混ぜすると、それを口に含む。 「ん……ちゅぷ…どうしたのかえ? 飲まぬのか?」 指を舐め絡む舌は赤く、そして淫靡。 まるで蜜に引き寄せられる虫のように、ふらふらと体が近づき。 近くで見ると酒気で太ももはうっすらと赤くなり、お屠蘇の溜まる底にはわかめ酒と言いつつ、わかめと例えられる陰毛などなく。外見に相応しいふっくらと盛り上がった丘があるだけ。 それを見ながら。 「…はぁ…ん」 ――……ずずず… 口をつけた。 舌でお屠蘇を掬い、顔を近づけ直接啜っていく。 「んん……ぁ…」 もどかしいのかくすぐったいのか動きそうな月見の腰を掴むと、さらに深くお屠蘇を啜る。 やがてお屠蘇も無くなるが、それは止まらない。 「…はっ……あく…ん…」 ――ぴちゃ……ぴちゃ…くじゅ… 深く、より深く貪欲に舌を伸ばし太ももを、その付け根を舌で舐め上げていく。 「ん……はぁ…はぁ……」 ――ズ、ズズズ… 月見が押されるように後ろに下がっていく。 それはすぐに壁によって阻まれるが、月見の腰を掴み直すと持ち上げるようにして立たせた。 粘膜から酒気が周ったのか、じゃっかん赤くなった頬のまま月見はされるがまま。 月見は壁にもたれ立たされたまま片足を掴まれ、それを陽司の肩へと乗せる。 すると目の前には月見の秘裂が大きく晒される。 秘裂はヌラヌラと濡れ開き、薄赤に染まったヒダの間からとろりと愛液が滴る。 「……はぁ……はぁ…」 月見の息遣いが聞こえる。 それは待ち望んでいるようで。 ――くぢゅる……ぢゅぅぅ… 「ぅんんんんっ!!」 むしゃぶりつくように口をつけた。 舌で柔肉をこじ上げると、唇で挟むようようにして、そこから丹念に舌を這わせていく。 口の中に溜まっていく液を飲み、溢れる蜜を穿り出す。 腰を引こうにも太い腕がしっかと掴み放さず、舌はより激しくなっていく。 ――ぢゅく! ぢゅく! ぢゅるるっ!! 「ひっく! ぁぁっ! やっそんな奥っ!!」 やがて月見は目の前の頭を押さえつけるように手を置き、腰は徐々に求めるように突き出されていく。 ――ぢゅるっ! ぴちゃ! ぢゅぅぅうう!! 「はぁっ! あ、あ、あ、あ……っ」 かくかくと痙攣し出す月見の腰を掴みながら、舌先は今まで触れていなかった場所へと迫り。 「――!? そこ、は……やっ! びんかん…だからっ!!」 制する声に耳を貸すはずも無く。 舌先は、淫核へと突き出された。 「ひぐぅっ!」 被ったままの皮を捲り上げ、尖らせた舌先がその根元を掘り返すように抉っていく。 ――びしゅっ! 秘裂の間から潮が吹く。 それを浴びながらもビンビンに勃起した淫核をほじくり返そうと舌で捏ねていく。 「…あきっ! くひっぅ!」 そしてその刺激に月見の爪先が段々と伸びていく。ひくひくとお腹辺りから自身で制御できない動きがでてきて。 「……ぁ……や、や……くる…くるくるっ! おおきいのがくるっ!!」 ぎゅっと目を瞑ると体を大きく仰け反らせた。 ――カリッ! 「――ひぎぃぃいいいっっ!!」 淫核を歯で挟むと同時に悲鳴が上がった。 ――ぷしゃっ!! ぷしゃ!! 「ひくぅ! ひっく……っ!」 痙攣するたびに潮を噴き、月見の視線はどこか遠くを見つめている。 「は……ぁ、ああ……」 月見はそのままずるずると床へと腰を突いた。 それ見た後、顔にかかった潮を拭っていると。 ――ごそ…… 月見は腰が砕けたのか、横座りになったまま陽司の腰へと手を伸ばしていた。 その手は膨らんだ股間を撫で上げており。 「次は儂の番じゃぞ」 撫で上げた手は巧みにジッパーを掴み。 「ふふ……」 「……ほれ……まいった、か……むにゃ」 暗闇の中ぐにぐにと虚空を手が掴む。 その動きは時に激しく、時になめらかでなにかを連想させるようであり。 ――ばさ! 「さむぅぅうう!!」 突如吹き荒れる寒波に全てが吹き飛んだ。 ただただか細く身を抱え震える兎に。 「ほら、起きろ月見」 呆れるような声が降ってきた。 「よ、陽司っ! いきなりなんじゃっ!!」 そこに見覚えのある男が居て。 月見の言葉に陽司は呆れたような声で言った。 「いつまで寝てるんだ。今日は元旦だろ?」 目次へ戻る |