「無月の名月」   作:匿名希望





その日は、夜だというのに蝉が鳴いていた。
それに負けじと遠く祭囃子が続く。
夏だな。
そう実感すると、夏の暑さも心地よく感じ……
「陽司! なにを手を止めておる! 氷菓子を四つ追加じゃ!」
……感じるわけがねぇ!!
右手のハンドルを高速回転させながら、左手の紙カップを動かし削れた氷を盛っていく。
「りょ、了解ぃ! そっち三つ上がったからシロップをかけてくれ!」
業務用の冷凍庫に飽きたらず、クーラーボックスを十個いっぱい用意してもなお、恐ろしい勢いで消えていく氷の塊たち。
「陽司!! イチゴとメロンとレモンとブルーハワイのシロップと、練乳と小豆も無いぞ!!」
「つまり全部だな! 裏口のケースにそれぞれ入ってる!!」
ひっきりなしに来る注文に、もはや両腕は意識を離れ機械のように淡々と猛烈に動く。
「陽司ー!! スプーンが足りぬ――っ」
だがそれも間に合わずに怒涛の忙しさは巻き起こり。
「裏口に注文した分が! って氷が切れるっ!?」


『期間限定かき氷一杯30円』

全てこれが原因であった。
恐らくというか、確実に価格破壊しているそれは一部では露店殺しと言われているらしいが、知ったことではない。
出店のように場所代を取られるわけでもなく食堂での販売。
月見の我がままで神社に出店が出せない分、あざとくてもやらねばならない。
どうせお客も神社に着く頃にはかき氷は食べ終わっている。
だったら少しぐらい儲けてもいいじゃないか。
「陽司ぃい!! 氷菓を七つ追加じゃぁぁああ!!」
「ちょっと待てぇえ!! 今新しい氷を出すからぁぁああ!!」
そんなこんなで、俺は(嫌な)夏を満喫していた。


そして祭りも終わり、地獄の軍団のようなお客がいなくなった後は。
「今夜も元気だ祭りの片付けー……はぁ」
そうして町内会の関係上、祭りの後片付けに借り出される。
無論月見はいない。
なにかと神社を嫌うあいつには店の片づけを押し付けて、早々に出てきた。
『は、白状者ぉぉおお!!』という罵倒を背に受けたがこっちも肉体労働だ。
氷やシロップでドロドロな調理場や大量に散乱した紙カップやスプーンやその他もろもろあったが……うん、しかたがない。
ぱんぱんになった腕で提灯や大きな看板などを片付けてゆく。
黙々とした作業は、思考を嫌でも働かせる。
最近、少し店の雰囲気が変わった。
なにが、とは言わない。具体的なものをあげることができないが、なにかが変わった。
ただ、いつも……生まれてから当たり前にあった存在が、変質したのだろうか。
傍にいると意識してしまう。
肌が触れると思い描いてしてしまう。
目に入れると想像してしまう。
それが恋や愛などの部類ならばまだいいが、そうではない。
初夏辺りから、急に月見を――傍に居た存在を女として見始めていた。
なぜかどうしてか、理由は判らない。
判ったところでどうしようもないだろうが。
だが、女として意識したところで手を出すわけにはいかない。
あれは家の守り神みたいなもので、俺にとっては姉のようで母のような存在。
今更それを穢せるわけもなく、かといって罪悪感から処理することも出来ない。
そして彼女は常に傍にいる。
正直、生殺しだった。
そうなると自然に月見を避けるようになり、どうも余所々々しくなる。
時期も時期であり、夏祭りや期間限定などの忙しさに押されなんとか誤魔化してきたが、それも今日終わった。
どうやって振り切ろう。
だが、家を出るわけにもいかない。
そうした思考は堂々巡りとなり……気がつけば片付けは粗方終わっていた。
額に浮かんだ浮かんでいた汗を拭う。
櫓などといった大掛かりな物は明日改めて解体することになっている。
挨拶もそこそこに神社を後にした。
風は無い。
祭りの余韻か、ひどく周囲が暑く感じる。
作業していたのもあり、シャツは汗でびっしょりだった。
先ほどのことを考えると、暑さにやられたのかくらくらする。
そして境内の階段を降り切った所で。
「遅かったの陽司」
入り口の鳥居に寄りかかる月見がいた。
「……っ」
一瞬思考が止まる。
「どうしたんじゃ。わしが迎えに来るのが不満かえ?」
だが内心を表に出すわけにはいかない。
「いや、入り口とはいえ。あんなに嫌がっていたのによく来たな」
「片づけが早く終わって手持ち無沙汰だったんじゃ。まあ、鬼のかく乱と思うがいい」
「兎のくせに」
「例えじゃ馬鹿者。では帰るぞ」
「へいへい」
月見が先導し、その歩幅に合わせてゆっくり歩く。
満月が照らす下、道の左右に広がる田園が光に晒され、草原のように輝く。
言葉は広く遠くまで届き消え、ただ熱気だけが返るのみ。
「ふぅ……祭りも終わってしもうたの」
「ああ、だがまだ町内会の小さいのがあるだろ」
「あれとは規模が違うじゃろ」
出来るだけいつも通りを意識するが、祭りの余韻か、夏の熱気か。
思考は煮詰まり、何を話しているのかすら霞んでいく。
「まあじゃが、今日の売り上げは――陽司?」
危ない、そう思った時には体が傾いでいた。
「っと、危ない」
咄嗟に近くの電柱に手を着くが、眩暈が酷く足元が揺れる。
「陽司!」
月見の焦った声が耳に入るが、応える余裕がない。
ここのところ休みがなく、疲れが一気に出たのだろうか。
座り込みたいが、ここは道のど真ん中なのだが。
「陽司っ、こっちじゃ!」
腕を引かれた。
覚束ない足取りで引かれるままに進むと、月が翳るのを感じる。
僅かに顔を上げると、簡素な板壁が目に入った。
「バスの停留所じゃよ」
板張りの年季の入った小屋に申し訳程度にあるベンチ。掠れた時刻表は月明かりではわからない。
促されるままに腰を下ろす。
頭の中で熱が渦を巻いて、鼓動が痛いほど高鳴り休んでいる気がしない。
熱い……ひたすらに熱い。
「大丈夫かえ?」
「――っ」
いきなり覗き込まれ、鼓動が一際激しくなる。
目の前の『女』が、心配そうに顔を歪めた。
「陽司……疲れが祟ったのかえ?」
そっと伸ばされた手は、とても白く目に焼きつくようで。
「っ! 触るな!」
咄嗟に手を払う。
「――! どうしたんじゃ陽司!」
頭がぐちゃぐちゃだった。
月見の顔、月見の首、月見の手、月見の体。
それらに触れ、見るだけで胸の奥が高鳴り、溶岩のように欲望があふれ出す。
「っはぁ! っはぁ! っはぁ!」
「やはりどこか具合でもっ」
それでも月見は俺を心配して手を伸ばす。
ああくそ、今すぐ……こいつを俺から放さないと……。
だが、無理やりに力を入れた膝は容易く折れる。
「陽司!」
俺は無様にも倒れこみ、必死に支えようとした月見を潰さないようにするのが精一杯だった。
「――っ!」
目がくらむ。
ベンチの上、倒れかけ必死に支える体の下には、甘い匂いがして。
「陽司っ! 大丈夫かえっ!」
その目の前で泣きそうになっている顔に、吸い寄せられるように。
「よう――んむっ!?」
唇を奪っていた。
熱が、体を突き動かす。
「んん〜っ!! ……ぷはっ! 陽司なにを――んぶぅっ!!」
ひたすらに目の前にある瑞々しい唇を奪う。
小さな頭を抱え込んで、一心不乱に貪る。
「ぷぢゅっ!! んん!! んじゅっ! じゅるるっ」
小さな唇の隙間に舌をねじ込むが、歯が拒絶しそれ以上は進めない。
しばらく舌先で歯茎をなぞるが、すぐに目標を変える。
「んちゅ……ちゅぢゅっ……ず、ず…」
強張る唇を一転して優しく吸い、舌で舐めなぞった。
震えている唇に、挟むように唇を合わせ、吸い込む。
小さな唇はマシュマロのようと言う表現が良く似合い、柔らかくそしてどこか甘く感じた。
「んぁ…んんちゅ……ふぁ……」
しつこく舌で舐っていくと徐々に月見の顔が蕩け、僅かに出来た歯の隙間に舌を割り込ませる。
口内を進み、奥で縮こまっている舌を見つけ出して強引に絡ませた。
「っ……じゅじゅっ」
舌に舌を巻きつけ揉み解して、こちらに吸い出し甘噛みをする。
もう抵抗する気配はなく、逆に少しずつこちらに舌は応えていく。
「んぐっ……んんっ」
溜めた唾液を注ぐと躊躇なく嚥下する姿を見て、深く唇を繋げる。
こそげ取るように差し入れた舌で口内をかき回し、今度は月見の唾液を集め啜った。
「あむ……ちゅむ…んぁ……」
乳飲み子のように直接舌で求め、唾液を啜り合う。
「ぷは……はぁ…っ…はぁ…っ…」
口を離すと混ざり合ったものが糸を引き、切れて落ち。交わりの濃密さを物語る。
腰が砕けたように月見はベンチに脱力した。
「…はぁ…っ…わ、悪ふざけはこれぐらいに…っ」
ここまでされて冗談の部類だと思っているらしい。
だがそれなら、より知らしめるだけだ。
「今すぐそこを……」
弱々しくも押し退けようとする両手を奪い、片手で月見の上に固定する。
「な、なにをっ」
もがく兎を眺めながら、残った手でその特徴的な部分――長く突き出た耳を手に取った。
「っ! あまり乱暴に触るなっ」
わかっている。
それは月見の自慢であり、一番美しい場所でもあるのだから。
そっと手を這わせる。
「んっ」
艶めいた毛並みを指先に広がり、そのまま毛並みに沿って指を滑らせた。
根元にたどり着くと、軟骨のような場所をコリコリと掻く。
「ひぅっ! こ、これ!」
敏感なのか抗議する月見を無視し、そっと指を耳の中へと進ませていく。
「ふぁ……ひっ…」
怖気が奔るのか月見が背筋を浮かせる。
目の前に晒された喉が、まるで差し出されたように見え、唇で吸い付いた。
「はぁぁああっ!」
予想外の刺激に更に仰け反る体を抑えながら、吸い付いた跡に舌を這わせた。
指は依然として耳の中を優しく擦り、柔らかな毛が心地よさを返す。
「んぁっ! ぁっ! や…っ」
舌で首筋を存分に味わい、そのまま少しずつ下げていく。
鎖骨の窪みを穿り、また唇で吸い付いた。
「……ぁ」
悶える体を御しながら、進むとやがて着物が邪魔になった。
名残惜しくも耳から指を引き抜くと、着物の帯へと手をかける。
それはあっけなく緩むと。
するすると抜き取り、襟が肌蹴た。
――――っ
息を呑んだ。
板張りの薄暗い小屋の片隅に、黒い着物からむき出された白い裸体。
穢れを知らぬような、暗闇に浮き出る白い肌は目に焼きつくようである。
それは触れてはいけない神聖を予感させ、その『神聖を穢す暗い想像』に興奮した。
「っ…いたっ!!」
僅かに肉付いた胸を強引に揉みしだき、月見の口から苦痛がもれる。
どこか芯のような硬さのある胸は少女のそれであり、背徳感が募った。
触り方を少し和らげる。
手の平で胸を包むようにすると、小刻み動かした。
「ふぁ……」
すると手の平の中心にグミのような感触がでてきて、徐々にそれは硬くなっていく。
こりこりとした感触を感じながら、もう片方の胸に舌を伸ばした。
「ひぅっ…ぁうぁ…」
まだ柔らかい乳首を乳輪からなぞるようにして、周囲から少しずつ刺激する。
そして舌先に触れた乳首を、舌で巻きつけ扱いていく。
「ぁぅ……胸ばかりっ」
ある程度まで硬くなった乳首を吸うと、小さな体が愉悦か快楽か震えるのがわかった。
「ふ……ふふ…まるでっ…乳飲み子の、ように…」
そう荒い息を吐きながら、必死に微笑む姿はいっそ健気である。
だが、そう言われるなら。
「大の…大人が、乳が、恋しいのか――ぎぃ!?」
グミのような感触が歯に広がる。
「ひぐっ! ……やめっ!」
ぐにぐにと硬いグミを揉み解すように噛み、もう片方を指が乳首を埋没させるようにグリグリと押し潰した。
月見の体が刺激によってか捩り、それが余計官能的である。
「あぅっ…ひっ……ん、んぃっ」
噛み解しながらも舌先は乳首をなぞり、指先は小刻みに硬い乳首をこね解す。
徐々に高まっていく月見の声を聞き、乳首からそれぞれ指と口を離した。
「ひ……ぁ……」
突如緩和された刺激に、物足りなさと安堵の混じった息が漏れる。
指はゆっくり乳輪をなぞった後、ギリィっと乳首を掴み捻りながら引っ張った。
「あぐっ!?」
月見の悲鳴。ギリギリと無理やりに伸ばされていく、だがその体は痛みと共に快楽で、ビクリと仰け反る。
痛み混じりの快楽を感じている中、開いた乳首へと再び口をつけた。
「がっ…ぎっ……や、やめ……っ」
かすれる制止は聞こえないことにする。
口に含んだ乳頭をゆっくりと舌で穿ると、万力のように噛み潰し、顎を引いた。
「――っ!? ひぎぃぃいいっ!!」
その刺激に月見はビクビクと痙攣する。
そっと放すと、じんじんと赤く勃った突起にはそれぞれ痛々しい歯形と爪あとが残され。
それを見て、予想外に興奮していることに気がついた。
ズボンの中で、自分のものが硬く痛いほど張り詰めている。
「――陽司」
ふと気がつけば、緩んだ手の拘束から月見が抜け出していた。
だが月見は逃げるではなく、自らを絡ませてくる。
か細い指が、ズボン越しに股間を撫ぜ上げた。
「……どうしたのかぇ?」
想像とは違う行動に反応が遅れる。
「ここまでされて……わしが逃げるとでもおもうか」
そう言う頬は上気し、童女の顔のままで遊女の笑みを形づくった。
その手は魔法のように動き、容易くベルトを抜き取り露出させた。
トランクスに手をかけると、それは勢い良く飛び出す。
「……こんなに窮屈そうに……」
そう言い月見は体を器用に捻り、勃起したものの前まで移動した。
そっと撫で付けるように握ると、ぞくりと期待と寒気が背筋を通り抜け。
「随分と蒸れておるな。雄の臭くてたまらん」
頬を上気させた月見は湯気の立ちそうな陰茎に舌を伸ばした。
「まずは罰じゃ」
その言葉の意味を図りかねると。
つぷっと尿道を割り開く痛みに呻きが洩れた。
「んふ……わしの受けたお返しじゃ」
月見はしっかりと手で固定すると、舌の先端で尿道口を抉っていく。
強烈な刺激に腰が逃げようとするが、それに合わせて手が扱かれ御される。
「ん〜〜…ぢゅる……んん…ほれ、みっともなく腰を振りおって」
熱い舌が小さな口を抉り、その痛みとも取れる快楽と、扱かれる甘い痺れに力が入らなかった。
「こんなに溜めて……辛かろう」
月見の手が裏スジを通って袋を柔らかく揉み、腹の底に怖気のような快楽が奔る。
情けなくも俺の限界はすぐに訪れると、それを察したのか月見は柔らかく微笑んだ。
「ふふ……それでは、手伝ってやろう」
ペタリと小さな舌が亀頭へ押し付けられ。
「ほぅれ…」
ゾリッとその表面を削った。
――っ
どっぷ――
そんな重々しい音が脳内に響く。
腹の底に怖気が溜まり、その溜まりに溜まった塊が尿道を通り、押し出されるように迸った。
目の眩むような快楽が奔り。
それを月見が手の平で亀頭を覆い、固まりかけた糊のような濃いものが受け止められ垂れ下がる。
「濃いのう……ほれ、垂れ下がっても落ちぬ」
手の平に溜まった黄色身がかったものは、粘着をもって垂れ下がりその濃さを現す。
月見は存分にそれを見せ付けると、
「あ……ん…じゅる…」
艶かしく舌を伸ばし、掬い取った。
繋がったそれを啜るとズルズルと音を立て呑み込まれていく。
「ん、んん…一息に呑めぬ…」
その量は多く、それを啜る様子は酷く淫靡である。
手の平のものを呑み終わると、月見は陰茎に手をかけ、ゆっくり扱く。
「まだ……ここにも残っておるの」
未だに硬いそれは、扱かれると先端から残った精液を垂らし。
「はぁ…ん……ちゅじゅる…」
雫のように垂れたのを月見が舌先で掬い、そのまま亀頭へ巻きつくと、小さな口へとグロテクスなものが呑み込まれていった。
「ちゅぢゅ…ぢゅるるる……」
二、三度扱きながら尿道に残ったものを吸われ、思わず息が漏れる。
それを月見は上目で見て。
「んちゅ…ちゅ……まだ出せる、よの?」
寒気のするような笑みを浮かべた。
「んぶ……ずずずず…じゅるる……」
柔らかく熱い感覚。
月見の口が不釣合いなものを呑みこんでいき、やがて根元まで呑んで止まる。
先端から半ばまできつく締め上げられ、半場から根元までを緩く包まれた。
のっぺりした喉の感触と、這う舌の感触に呻く。
ただ包まれているだけで果てそうになり、歯を食いしばる。
「…んふー……んふー……んぐく」
それに気を良くしてか、月見が動き出す。
「ずぞぞ……」
ぞわぞわと蠢く喉に扱かれ、毛穴が広がるような危うさが背を駆ける。
引き抜かれた部分を舌が這い撫で付けられ、再び奥へと吸い込まれていく。
「……んく…ずっちゅ、ずっちゅ、ずっちゅ…」
長く深いスロークに快楽への水位が上がっていく。
そして月見は気を良くしたのか、深くまで呑み込むと。
「んぐ…んぐ…」
嚥下するように喉を鳴らすと、きゅうっと喉が絞まり、裏スジを舌がなぞった。
勝手に腰が震え、俺は我慢できずに月見の頭を掴む。
「んごっ!!」
そのまま力任せに腰を振り、喉を突き破る勢いで叩き付けた。
「がっぷ! ごぐっ! んごっ!!」
たちまち喉が絞まり、俺はあっけなく達する。
「ごっぷ……がぷぷ……んぶ〜〜っ!!」
突然の射精にも月見はビクビクと体を震わせながらも、そのまま喉を鳴らして嚥下し、それがまた一層締め付け射精を促す。
「ず、ずぞぞぞぞ……ぷぁ…」
最後の一滴まで呑み込むと、吸いながら引き抜き尿道の中まで絞り口が離れる。
「…んく……はぁ…はぁ…また大量に…はぁ…出しおって…腹がいっぱいじゃ」
息を荒げながらも、月見は呑んだ精を労わるように腹を撫で擦った。
胸に巣食う情欲の熱は高まるばかり。
熱に突き動かされ手を伸ばし。
「駄目じゃ」
か細い手で押し留められる。
「まるで獣のようにがつがつと、少しは情緒を学ばんとの」
そう俺を押しのけ逆にベンチへと横たわらせ、背を向け顔を挟むように跨った。
顔の前にはとろとろになった秘裂があるが、月見が厳重に言い渡すと。
「手を触れるでないぞ」
月見がそう言うと、片手を下ろし自らを慰め始める。
くち…くりゃ……
「ん……」
人差し指と中指が自らの秘裂の周囲をなぞった後、まだ皮を被った淫核へといたり、皮の上から弄り出す。
「……んあ…あ、ん…」
充血した淫核を皮の上から指がこね回し、ぴったりと閉じた秘裂から粘度の高い愛液がしたり落ちる。
目の前に広がる淫靡な光景に、目を奪われながらも手は出せない。
小さな体から発せられる熱気で呼吸が苦しい。
淫核を弄る指がすっとその下、秘裂へと下がり、
くちゃり……
二つの指がその少女の形を残したままの場所を広げる。
「これが……欲しいかえ?」
瑞々しく肉質的な穴の中心から一筋雫が垂れ、頬へと落ちた。
「じゃが、また触れさせるわけにはいかぬのう」
生唾を呑む俺に、月見は肩越しにまた遊女の笑みを浮かべ。
「ふふ、そのがちがちにおっ勃てておるものを扱き、わしより先に果てたならいいぞ」
そう言うと、月見は俺の手を取り誘導し。
「ただし、ここしか触ってはならぬ」
真っ直ぐ勃つものの先端――亀頭へと被せた。
戸惑う俺に構わず月見は再び淫核へと指を戻す。
「ほら、早うせんと…ん、わしが先に果てて、ぁ…しまうぞ…」
クリャクリャと弄り始めた。
俺は状況を理解するのを止め、欲情に従い手を動かし始める。
充血しきった淫核は皮の上から弄られ僅かに覗かせ。
「はぁ…んぁ……んん……どうしたんじゃ、動きが鈍いぞ…」
月見はこちらを挑発するように、そっと淫核の皮を剥いた。
赤く充血した淫核が自己主張するように勃ち上がっている。
「……ほれ…ぬしのものと同じく…興奮し、そそり立っておる」
目の前の光景に俺はただ無心で亀頭を刺激する。
その様子を見ながら月見は直接淫核を刺激し始めた。
「んゃっ! そんなっ…猿のように…んんっ…必死になって……っ…盛りおって…恥ずかしくない、かえ…ぁぅっ」
上気した頬、喘ぎと共に罵倒が漏れる。
だがその言葉に説得力はない。
互いを互いが見て興奮し、高まり自慰へといたる。
ぽたぽたと顔に白い愛液が垂れ、顔を汚す。
「はっ、はっ、はっ、はっ…んっ」
いつしか月見はだらしなく口を開き、目の前で扱かれる陰茎に夢中になっていた。
夏の熱気とは別の熱気が小屋へ立ち込め、汗と蒸せるような臭いを充満させる。
そして……
「…くぁ…ほれ…わしはっ……果て……ん、んんっ」
なにかに堪える様に月見が背を徐々に逸らし始め。
こちらも腰に溜まりかねた熱が行き場を求め。
「ぃぁ……ぁ、ぁぁああああっ!」
月見は小刻みに体を震わせながら、淫核を捻るようにして摘んだ。
「きぃ――ぁあっ!!」
ぷしゅっ!
ぐんっと背を剃らし、秘裂から潮を噴き。
――っ!!
ブシュッ!
それと同時に俺は尿道口から勢い良く精液を放っていた。
潮は真下の俺に降り注ぎ、射精の勢いがよかったのか月見の顔にまで降り注ぐ。
二人とも息が荒い。
まるで体の全てを搾り出したかのように虚脱感が襲う。
だが、胸の熱は……まだ物足りぬ、と存在を主張している。
手を伸ばす……華奢な体をこちらに向かい抱き上げながら、体を起こした。
月見は放心したかのように脱力し、顔から下腹部までに散った精液を指に取る。
改めてみる月見はやはり小柄で、身体つきから見ても子供としか思えない。
だがその体は上気し赤味が差し、呆けた顔で下腹部の精液を無為にかき混ぜる姿は熱を上げる。
伸ばした手が肩へ触れそうになった所で、月見と目が合った。
「わしを抱くのかえ?」
それはここではない遠いものを見るような瞳。
どこか幽鬼を想像させる瞳に背があわ立つ。
そして月見は更に言葉を重ねた。
「それは、わしと契るということなのかの?」
瞳は依然どこか遠く、俺を通して何かを見ているかのようで、気圧されるままに頷くと。
「そうか――」
月光の下にそっと咲く花のように綻んだ。
心が揺れる。
動揺するうちに月見は手を伸ばすと、俺の頬を撫で――それを呟いた。
「――ようやく捕まえた……」
それは、長年求めていたものを手にする歓喜。
万感の思いと共に呟かれた言葉と万年の念が雫となる瞳は――俺の中を透過した。

「ああ……『初代を』見初め、時が過ぎ去り百余り……」
それは情の音であり。

「ああ……諦めきれずしがみ付くこと無様なこと」
それは哀の歌であり。

「ああ……振り切れず離れられぬこと無惨なこと」
それは恋の詩であり。

「だが、だが、今ここに……あの者の血が、愛しき者の欠片が」
それは愛の証であり。
「ようやく……ようやく……この手に届いた」
それは恋慕の誓いであった。

月見の手が頬を、唇を、首筋を、胸を撫ぜ降り。
静かに体が寄り添う。
触れ合う肌は熱く……胸に渦巻く熱は周囲を焦がさんと高まり。
そして水飴のように蜂蜜のように糸を引くような息を吐きながら、溶けるような想いを口にする。
「さぁ……わしをモノにしおくれ…『主様(ぬしさま)』」
ああ……その言葉に熱が――『怒りの熱』が臨界を迎えた。
黙りこくる俺を不審に思ったのか、月見は覗き見るようにする。
「どうしたのかえ『主様』…さぁわしを――」
その言葉が終わらぬうちに、唇を奪った。
「んぐっ!?」
舌を差し込みかき回し、相手の舌を吸い出し唾液ごと啜りかき混ぜる。
情緒もなにもない、ただ『奪う』ための口付け。
「んんっ! んむっ!!」
戸惑う月見を胸に抱きながら、その体を陰茎へと下ろしていく。
ず、ずずず……
「――んぅっ!?」
幼い形の秘裂を割り開き、十分に濡れそぼる場所を押し広げながら進む。
「んぃっ!! んぉっ!? ……んぐぅ!!」
そして一番奥へといたり。
こつん、と硬いものを押し上げ、丈を少し残し止まった。
「んふぅーっ…んふぅーっ…んじゅ……ぢゅじゅる…」
ぞわぞわと独りでに蠢くヒダが、全体を柔らかく包み刺激する。
子宮を押し上げる感覚に身悶えるする月見を、上から舌でかき回しながら俺は動き始めた。
「んんっ! んもっ! むむぅっ!!」
ただ乱暴に。
思うがままに、心が求めるままに上げて、下げて。
膣内の至る所を削り取るように動かしていく。
「むふぅっ! んぎっ!!」
そしてとある場所を削った時の僅かな反応を見て取り、そこを重点的に削った。
「んむぉ!! むもぉ!! じゅる…んぃぃっ!!」
たちまち月見の体が痙攣し、膣が急速に締まり陰茎を締め上げる。
痙攣する体。だが逆にそれを持って更に力を超めて突き上げた。
「んぼぉぉ!!」
塞がれた口から叫びが上がり、舌を噛まれる。
口内に広がる鉄錆た唾液を構わず啜った。
「じゅ、ぢゅるる……んむぅ! んぃっ!! んぉっ!!」
月見はそこを削るたびに面白いほど痙攣し、連続して果てる。
断続的に締め上げる膣に扱かれ、俺は限界まで歯を食いしばり。
ゾルリと、思いっきり膣を削った。
「――っ!!??」
ど――くん…どくん…
串刺すように射精し、半ば白目を向きかけながらそれを受け止める。
月見が大きく息を吸おうと口を開いたのを感じ、また口付けを深く深くした。
そして射精も終わらぬうちに再び動き始める。
「ぢゅぁ…じゅずず…・・・んぃ……んぃぃ…」
ぞりぞりと精液と愛液の混ざった物を掻き出しながら膣を削り、月見は突き入れられるごとに小刻みに痙攣する。
落とす、墜とす、堕とす。
情欲をもって、激情を持って目の前の少女を攻め立てた。
目の光は掠れ、体から力は抜け、求めるままに膣を締め上げる。
間を置かずに湧き上がる射精感を我慢せず、子宮へと押し付けるように突き上げると。
どくどく……どく…
「んぐ…ぉ……っ」
虚ろな目で、ビクリと震えた。
渦巻く熱はまだあるが、ゆっくりとその口から舌を抜き取り口を離す。
「ぁ……かはっ……はぁ…はぁ……はぁ…」
大きく咳き込むように月見は息をすると、ゆるりと首を回した。
そして、口を震わせる。
「……どう、したのかえ……『主殿』…」
――――
その言葉に、胸の奥に軋んだ音がした。
だがそんなことは知らぬとばかりに、月見は俺の首へと手を回す。
「それでは『主殿』…離すでないぞ?」
そう言うと月見は探るような腰使いをしだした。
様々な場所へと擦れ動きそうになるが、目で制される。
そして――
「ん……こ、ここじゃ」
陰茎の切っ先が、なにか小さい穴のような部分に触れた。
ぱくぱくと軽く開閉する子宮口はまるで吸い付くような感触を与える。
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」
月見は大きく息を吸うと。
めりめりめりっ。
「んぎぃ! あ゙ぁあ゙ぁぁっ!!」
腰を落とし始める。
自ら強引に子宮口を抉じ開け、その陰茎を飲み込もうとし。
「ぅあ゙あぁぁああっ!!」
――ゴキュ。
硬いものを突き通す音と共に子宮を貫通した。
「ぁ……ぁぁあ……」
月見は震える手で自らのお腹、子宮辺りを手で擦り。
「これで……わしは全て…」
歓喜の声は耳へと滑り込み。
「全て――『陽司』……お前のものじゃ」
今までに無い熱を点もした。
ずるずると、子宮口が陰茎を扱きあげ、月見は身を震わせながら嬉しそうに笑う。
「受け止めて、くれるかえ……陽司」
自然と口を合わせていた。
「ちゅ…じゅる……ん……ほれ…いくぞ」
ずず…
肉と肉を引き合うような重い音を立て子宮から陰茎が抜き取られ、雁で引っかかり、また子宮の奥へと突き込まれていく。
「ぁむ……ちゅ…はぁ…・・・んぁ…」
それは先に比べると酷くゆっくりとした動き、だが膣内が絡みつき、はまり込んだ子宮口が圧迫する感触だけでことたりる。
ず、ずるずずぢゅ…
「ひぃ…ぁ……ぅ…」
身を震わせながらも自ら動き、月見は子宮を削っていく。
「…んゃ……ちゅ…あむ……ちゅる…」
緩慢な磨耗しあう動き、舌は絡み合う。
長く引き抜かれる。雁が子宮口へと引っ掛けたまま月見は俺に笑いかけた。
「陽司……子種をくれぬか」
子宮口が締まった。
「――っ! く、ぁ…」
月見は耐え切れぬように胸にしがみ付くと、猛然と動き出す。
ぐっぽぐぽ、ぐぶぶっ
「ほ、しいのじゃっ! 子種をっ! 子種をっ! わしを……孕ませて…」
すでに限界だった。
必死に動く月見の腰を掴むと、力の限り奥の奥へと突き入れた。
ずん――びゅぶ! ぶしゅっ!!

「ぎぃひっ!! ぁ――ひぎぃぃいいい!!」
噴出すような、搾り出すような射精。
子宮の奥の壁のゴムのような感触を感じながら、射精を繰り返す。
こぷこぷと子宮へ流し込む感覚に、身震いをする。
大きく息を吐く。
もう精も根も尽き果てた。
思い出したかのように圧し掛かるここ数日の疲労に頭が揺れるが。
「まだ……」
胸元で寄り添う少女からその呟きは聞こえた。
「……ああ…もっと、もっとくれんかえ」
月見は足を絡ませ、腰を小刻みに動かし始める。
吸い付く子宮口がカリに引っかかり、刺激を送り。
「足りんのじゃ……満たしてほしい…子宮をもっと…子種でいっぱいにして…」
精も根も尽き、疲労により体は動かない――はずだった……。
血が巡る。
再び硬度を取り戻す。
「ぁ……陽司……ちゅ、じゅる」
幼子のように求める唇を吸い、俺は再び動き出した。


全身を襲う鈍い痛み。
筋肉痛と疲労による頭痛だと気がついても何も変わらない。
そう、何も変わらない。
この種正も、この食堂も……そこにあるものは何も変わらない。
ただ、変わったものがあるとすれば――
「んじゅ……ちゅぅ…はむ…んぁ……」
筋肉痛で震える手で布団を捲ると、そこには股に顔を埋める兎の耳を生やした少女がいる。
その少女は懸命に、だがどこか楽しそうにそれを咥え舐め弄ぶ。
「ぢゅるるる……起きたかえ陽司」
場違いなまでに明るい声。
「ちょっと待っておれ…はぅむ……ほれを…なんふぉはしてふぁろう……」
そいつは昨日見せた遊女の顔をすると、再びそれを咥え扱き出す。
もちろん昨日のことは覚えている。
そして判っている。昨日なにをしたかを。
だが――
「とおりゃ」
ズビシッ
「ぎゃんっ! な、なにをする!!」
確かにこいつとの……月見との関係は激変した。
「なにをじゃない。朝からなにしてる」
もう戻れない、前のままになれないことは判っている。
「なにをじゃと! 朝から女にされるのは、男の本懐であろう!」
もしかしたら家は絶えるかもしれないが。
後悔は無いし、する予定も無い。
「今日の朝は櫓を解体するんだ。
昨日散々しておいて、疲れさせるな」
だが、もしも……
「い、一度心身共に深くまで許したら、それで陽司は手の平を返したようにっ!!」
もしも……こうならなかった『未来』を想像してしまう。
「昼からも店を開くんだ。体力の消耗を避けるのは当然」
その俺は…・・・どうなっているのだろう……と。
「また…夜ならな」
「ぬ…ふふ……ならよい、ならば証を示せ」
俺はこれからを共にする半身の顔に手をかけ。
「先払いだ」
そっと口付けた。


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