「幼月」   作:匿名希望





「いや、なに。それはもう可愛くての」
手にした徳利を傾けながら、月見は程よく回った酔いのままに語り出す。
「どこに行くにも『つきみ〜つきみ〜』とべったりでの。いやぁ、さすがに厠まで付いて行こうとするのは困ったんじゃ」
「へぇ〜。今はあんな堅実を字に書いたようなやつが、そんな甘えっ子だったとは」
空になった杯に酌をしながら、雪紐は興味を示すように促す。
「甘えも甘え。外に出るときは手を握ってやらんと泣きそうな顔をするわ、夜は一人で寝るのが怖くてわしの寝床によく潜り込んでおった」
語られる内容は過去の……特定の人物にとって恥辱の部類。
当然ながら話題の人物は早々に寝床へ退散している。
「じゃが年を重ねるごとに生意気になってきよって」
「そりゃあ、背伸びしたい年頃になればねぇ」
陽司の恥部を酒の肴ながら二人は呑み。
「だがまぁ、あの時は非常によかったのう」
その言葉に雪紐は耳をピクリと動かした。
「ほほぅ? なにかあったの?」
「ふむ……あれはの――」
そして月見は語り始める。


それは夜も更けた時間帯であった。
早々に床に着こうとした時、廊下から誰かが歩くを耳にする。
飾りではない耳をそばだてると、その音には軽く嗚咽が混じっていることに気がつく。
やがてそれは部屋の前まで来て。
「誰かえ?」
声をかけると、障子の向こう側から驚く気配がする。
「……陽司?」
布団から抜け、障子を開けると、そこにはべそをかく幼い男の子がいた。
「こんな夜更けにどうした陽司」
最近生意気になってきた男の子――陽司へと問うと。
「ひっぐ……うっぐ……うぅ……お……しょ……」
掠れるような小さな声。
「なにを言ったんじゃ?」
問い返すと、陽司はパジャマの裾を握り締めて言った。
「ぐす……おねしょ……しちゃった……」
「はえ?」
思わず下を見ると、陽司のパジャマの股の部分が濡れて変色しているのがわかる。
「はぁ……この年にもなって」
去年卒業したと思ったのだが。
「……うぅ……ひっく……ひっく……ごめん、なさい……」
溜息が出るが、またも泣き出した陽司にそれを引っ込めた。
ぐずる陽司の手を取った。
「ほれ、いつまでも泣くでない。着替えじゃ。あと、布団も洗わんといかんしの」
そのまま連れて行こうとするが。
「……ぐすっ……布団は……ぬれて……ない、もん」
予想外の力に止められた。
「布団……ぬれて……ないもんっ。起きたら、ぱんつが……きもち、わるかった……だけだもん!」
子供の意地なのだろう。
それに呆れながらも口を開き。
「……寝小便をして、布団が濡れぬとは……器用じゃ――」
ふと、ある『臭い』を嗅ぎ取った。
「……うく……ひっ……ぐす……」
それは嗅ぎ慣れたもので。
「陽司」
「ふぇ?」
強く陽司を布団へと引っ張った。
「うわっ」
満月は、布団へと倒れた陽司を明るく照らす。
「ひくっ……つきみ?」
怒られるかと思ったのか、見上げる怯えた目に軽く罪悪感が湧く。
だが、それよりも欲求が勝った。
「……陽司」
「なに? つきみ――んんっ!?」
覆いかぶさるようにして、可愛らしく開いた口をついばむ。
「ん…んん……ちゅっちゅ……じゅる…」
もがく頭を押さえながら、片手はパジャマへと潜り込んでいく。
ぐじゅり、と手先にぬめった感触。
粘つく下着をこね回しながら、口は貪り続け嫌がる舌を巻き取りすする。
「じゅじゅっ……んちゅ…ぷぁ……んんっ」
初めにあった抵抗が徐々に薄れる頃合を見計らい、陽司のパジャマを下着ごと下ろした。
途端、部屋に濃厚な『青臭さ』が充満する。
「ほぅ……これはまた」
目当てのものは先の手技のせいか、まだ幼いそれは半場まで硬くなっていた。
羞恥か。健気にも隠そうとする手を取り、どかせる。
「やだよつきみ! こわいよっ!」
嫌がる陽司を前にして、顔を寄せた。
「怖がらずともよい……思うがままを感じればいい」
額に口付け、するすると顔が下がっていき目の前に皮を被った慎ましいものがくる。
健気に体を捩る姿に嗜虐をそそられながら。
「な、なに? なにするのつきみっ」
「陽司をな……食べるんじゃ」
「え? ぅぁあああっ!?」
じゅるり、と小さな陰茎を口に含んだ。
「ぅぁっ、ぅわっ! ぅぁあっ!」
まだ未熟な硬くなりかけた果実を、優しくほぐすように口の中で弄ぶ。
陽司が未知の感覚に戸惑い声をあげ、舌は窄まった皮を弄り始める。
「ちゅぷ…ん……ここは…綺麗に…しておるかの?」
舌で皮を広げ、内部を抉るように回した。
「ぁぅっ!?」
舌先にはしょっぱさと垢の感触。
「いかんのう。ここは清潔に、しておらねば……清めてやろう」
「はぅ! なんかグネグネしてるlち! やっ!!」
それを唾液とかき混ぜるようにして、舐めとっていく。
ぐちゅぐちゅと皮の中で舌が身を削るように動き、吸われる。
「ひっ! つきみっこわいよ! なんかこわいよぉ!」
ガクガクと陽司の腰が震え、自然と手は月見の頭を押さえるのを感じる。
快楽に流されるままの幼子を愛おしく思いながら、口の中で舌を使い皮を剥いた。
「ぁぁああっ!!」
手は頭を押さえつけるのに、腰は逃げるように引かれる。
そしてむき出しになった幼い亀頭を。
「ふふ……ぢゅっ!!」
思いっきり吸った。
「ひぃっ!! なにかくるっ! なにかっ! おしっこでちゃぁあっ!!」
ビクビクと陽司が腰を浮かし、生まれて今まで溜め込んだ『精』を、口の中へと解き放った。
「んぐ……んんん……こく、こく、こく……」
濃厚な…『未熟な雄の臭さ』を舌に感じながら、ゆるりと嚥下していく。
シーツを掴み、ブリッジをするかのように腰を浮かせている陽司は、月見の喉が動くたびにビクリと震える。
「ん、んん…じゅろろろ……」
「ぁうぁぁ……」
射精の勢いが弱まり、萎えていくのを感じると、そっと手を伸ばした。
「ひぐっ!?」
下がりかけていた腰が持ち上がる。
「つき、みっ! そこいやだっ!! きたないよぉ!?」
「んふ……ここも気持ちよかろう?」
童女のように細い指が、陽司の尻の穴へと潜り込んでいた。
「ほれ、もっと頑張らんか」
窄まった入り口を抉じ開けながら人差し指を回すと、それに合わせて陽司の腰が踊る。
「ひぃぁ! やだっ! なんか変だよっ!!」
そしてある程度腸壁を撫でた後、鉤のように指を曲げて『そこ』を抉った。
「ぎぃいっ!!」
今までと違う悲壮な悲鳴。それと裏腹に、萎えかけていた陰茎が勢い良く勃つのがわかった。
「やぁああ!! ぞこやぁああ!!」
泣き叫ぶ声を聞きながら、再び舌を使い始める。
「じゅるる……ずずず…ぢゅっぢゅぢゅ……」
「ひぃぃいいいっ!! かっ――!?!?」
途中から声が消え、涙を流しながらただ口をパクパクと金魚のように動かす陽司。
前立腺を刺激され強制的に勃たされ、なお刺激を送る。
まだ幼い彼が、情すら入り込まぬ『搾取』に耐えられるはずもなく。
それは唐突に来た。
「―――ぁっ」
「んぶっ!! ……ず…じゅる……ごく…」
何も予告もなく、びゅるびゅると信じられない量を射精する。
一瞬気を取られるも、すぐに吸い付き飲み込んでいく。
「ぁ……うぁ…ぁぅぁ……」
その間も指は奥から精液を掻き出す様に動き、口も陰茎ごと吸い取ろうと強く吸い付く。
やがて尽きたのだろう、尿道に残っていたものまで吸出し口を離す。
口の中で残った精液を弄び。
「本当に……青臭いのう。喉につまるかと思うたわ」
ごくりと飲み干す。
そして指を引き抜くと同時に、陽司が息も絶え絶えに肢体を投げ出した。
「はぁーっ……はぁーっ……」
息は快楽の激しさか大きく乱れ、朧気な瞳は何も映さず、汗にまみれた四肢に力は無い。
だが幼い陰茎はピンと勃ち、向き身にされた先端をぴくぴくと動かす。
「……んふ…ほれ陽司。なにを休んでおる。お主は雄(お)の子じゃろ?」
陽司の上に圧し掛かった。
「…ぁ……」
ぼんやりと見上げる陽司を見て、これからの行為を思い、背骨がゾクゾクする。
腰を動かし位置を調整し、粘膜が僅かに交わって粘ついた音を出した。
こちらの準備は触れずとも整っている。
溢れた愛液が滴り、陰茎へと垂れた。
「……つきみ…」
うわ言のように呟く言葉。それは親兄弟の親愛か、それともこの状況での助けを求めるものか。
どちらにしろ。
「陽司……馳走になるぞ」
つぷりと秘裂を割り開いていく感覚に溶けて消えた。
「ぁっぁっぁっぁっ……」
先ほどとは違う肉の感触に、自然と陽司の口から音が漏れる。
程なくして薄い尻が陽司の腰と触れた。
「ぅあぁ……」
ビクリと陽司の腰が震え、膣内で広がる熱に溜息を漏らす。
吐き出す息はあてられたように熱い。
「……ふぅ…挿れただけで出しおって…」
軽く腰を回すと、秘裂の隙間からどろりと愛液と混ざったものが垂れてくる。
「それもこんなに大量に……のぉ?」
「…ぁ……ひっ…」
ひくひくと動く陰茎を感じながら問いかけるが、余りの快楽に答える余裕などなかろう。
「まだ…まだ……こんなもの…じゃないぞ?」
緩く回された腰に、思わず陽司は跳ね上がりそうになった。
小さいがゆえに容易に膣内をかき回し、あらゆる場所を刺激し刺激されていく。
「ひぃ! ……ぅあっ! つきみっ! やだっ! これなんかやだっ!!」
初めて味わう女の味に混乱しか示せぬ陽司。
「うぁっぅあっ! ぁああっ!!」
そしてまた容易に弾けた。
流し込まれる幼い子の精液に陶然とする。
快楽の波に流される陽司を見下ろした後、その体を抱き閉めた。
耳元で囁く。
「陽司……気持ちよかったかえ?」
それに茫然自失とした陽司から蚊の鳴くような声が返る。
「……ぃぁ……じんじんする…」
「…どこがかえ?」
するりと甘言は小さな耳へと入り込む。
「……おちんちんが……じんじん、する」
そして、未だ膣内で必死に萎えずにある陰茎の感触に歓喜した。
陽司を抱きかかえるようにして、体位を入れ替える。
ごろりと月見が下に、組み敷くように陽司が上に。
目の前の困惑した顔へと手を伸ばす。
「次は、わしを気持ちよくして…くれぬか?」
浅い口付け。
「――ぁ」
軽く腰を動かすと、それに合わせる様に陽司が拙いながらも腰を合わせてきた。
拙い、本当に拙いただ前後させるだけの動作。
だがそれでも、陽司は必死に膣内を擦り、初めて自ら快楽を欲する。
「ぅぁっ、ぁっ、ぁっ、ぁっ!!」
大きく陽司が震え、背を剃らし必死に陰茎を膣の奥へと届かせようとし。こぽりと秘裂から収まらぬ精液が溢れた。
そしてまたすぐに動き出す。
「ぁっ、ぁっ、ぁあ…つき、み……つきみ、つきみっ」
叫ぶ声は何を求めているのか。
熱で溶けたような目で、うわ言のように繰り替える言葉に篭るのは情欲か、それ以外か。
「…ふふ……腰をそんな必死に振りおって…涎まで垂らして…んちゅ……ぷぁ…」
「つき、んぷ……ぐちょ…ぱぁっ……つき、み…」
伸ばした舌になすがままに貪られても、幼い体はただ目の前の裸体を求めるのみ。
「……そんなにわしの中は気持ちいいかえ?」
「つきみぃ、つきみぃつきみぃ…っ」
返ってくるうわ言に目を細めると、目の前の汗で乱れた髪を梳いた。
「初(うい)子じゃ……褒美をやらねば…のぅ?」
そしてゆっくりと、お腹の中。膣へと力を込めていく。
「ぁああ……きゅーって、きゅーって……きちゃうっ! つきみすごいのきちゃうよぉ……」
逃げようとする腰を、両足で引き寄せしっかと固定し。
「ほぉれ……その青臭いのを…一滴残らず出すがいい」
忍ばせていた手で、陽司の尻の穴を貫いた。
「――ぎゃぴっ!!??」
悲鳴が上がる。
「遠慮せずっ……枯れるまで…出さんか」
ドプリと弾けるように射精が始まった。
「ひぁっ! ひっひっひっ…ひぎぃっ!!」
目は上向き、閉じられず舌を突き出した表情のまま小刻みに痙攣する陽司。
か細い指が前立腺を抉るたびに、強制的に射精を促され、絞られていく。
「……本当に初子じゃ」
ずるずると、まるで別の生き物のように蠢く膣に揉まれ、青臭い精は留まる事を知らない。
入りきらない精液がコポコポと溢れるのを感じながら、幼い体を胸元へ抱き寄せる。
「こんなに青臭いのをたっぷり出して……もしかしたら孕んでしまうかもの?」
囁いた言葉に反応したのか。
びくりと陽司が震え、また新しく注がれる精を感じ月見は陶然と息を吐いた。


「とまあ、こんなことが」
「……っ」
情緒豊かに熱の篭った月見の話に雪紐は唾を飲み込んだ。
「そ、それで……その後は?」
恐る恐る、できるだけそっけなく見えるように(バレバレだが)雪紐が問うと、月見は空になった杯に酒を注ぎながら言う。
「その後もなにも、気を失ってしもうた陽司を洗って着替えさせて、布団に放り込んでおしまいじゃ」
そっけない言葉に、雪紐は詰め寄る。
「いやいやいやっ。そういうのじゃなくてっ! その後の関係とかっ!! 展開とかっ!!」
恥も外聞もなく詰め寄る雪紐を前にしても、月見は動じず。
「なにを言ってるんじゃ…その後は手を出しておらぬ。陽司も一時の夢だと思っておるじゃろ」
「え? そんなあっさりでいいの?」
意外そうな顔をする雪紐に、月見は口端を吊り上げた。
「それに酒の肴には十分な『作り話』だったじゃろ?」
「……は? 作り……話?」
呆然とする雪紐。
「無論。まさか本当の話と思うたかの?」
してやられたことに気がついたのか、雪紐は徐々に顔をひくつかせていく。
「ま、まあそうだよね……」
怒りに震える手を押さえ込みながら、元に位置に戻る……見せかけて。
「ほほほ、雪紐殿は昼ドラの見すぎでは?」
そう笑う一言で、雪紐の中から何かが切れる音がした。
「つ〜き〜み〜〜!! あんたは一言余計なんだよ〜っ!!」
「うみぃぃいい!! い、いきなり実力行使とは神とは思えぬ所業じゃぞ!!」
「あんたが生意気なのが悪い! ほ〜れ! 今宵の兎は良く鳴く!!」
「み、耳は、耳は引っ張らんでくだされっ!!」
ドタバタと組み合う二人。
「っと、まだ起きてたのか」
そこへ陽司が部屋の前を通りかかる。
まだ起きていたことが予想外だったのか、目を丸くする陽司。
月見が時計を見るとすでに四時を回っていた。
「あんまり神様とか妖怪とかには関係無いと思いますけど、深酒はほどほどに」
巻き込まれては敵わぬと、早々に陽司は退場しようとするが。
「まあまあ、これも何かのお告げだろう。とりあえず酒の肴になってくれ」
がっしりと雪紐に肩を組まれる。
神の前に人の子の抵抗など無意味に近く。
「はぁ……明日も……というか今日も仕事なんでちょっとだけですよ」
陽司の諦観の詰まった息が漏れた。
「お、わかってるね。それじゃあ、まずは駆けつけ十杯から」
「多すぎですっ!!」
そんな散々弄ばれる陽司を見ながら、月見は笑う。
「ふむ……童の時もよかったが……今もまぁまぁ……」
呟く言葉は小さく、聞きとがめられぬうちに消え。
「それでは、わしはこの辺で」
「あ、こらっ! 俺を置いて逃げる気だな!」
「ほらぉ陽司! ぐーっといけ、ぐーっと!」
先の話はどこまでが真実か、それともただの作り話かどうかは全て兎の胸の内。
今夜もまた平和に夜が明ける。


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